177話 ページ27
隣のベッドという場所を確保したハリーは、あまり表情に出していないながらも満足だというようにカーテンを閉め、ベッドの中でパジャマに着替えた。
視線を横に向けると、横たわるA。
顔半分血塗れになるくらい深かったであろう傷跡は、もうすっかり綺麗になっていた。
その寝顔は、ハリーが大好きな彼女そのものだった。
「Aは、大丈夫ですか……？」
「大丈夫ですよ。額から目にかけて大きくパックリ割れていましたけど、傷より眠りにつくまで騒がしかったことの方が問題です」
その返答に、ハリーは思わず力なく息をついた。
スネイプに医務室に運ばれて意識を取り戻してから、傷の痛みとムーディのことで混乱して騒ぎ散らかしてしまう彼女の姿が容易に想像できたのだ。
多分、スネイプに「喧しい。はやく寝ろ」とでも言われたんじゃ無いだろうか。
ロン、ハーマイオニー、ビル、モリーがカーテンを回り込んでやってきた。
ロンとハーマイオニーの怖いものを見るような視線に、ハリーは力無く笑った。ちゃんと笑えていたかどうかは分からない。
「僕、大丈夫。疲れてるだけ」
モリーは必要以上にベッドのシーツを伸ばしながら、目一杯に涙を浮かべている。
「ハリー、これを全部飲まないといけません」
マダム・ポンフリーが、紫色の薬が入った小瓶とゴブレットを持ってきた。
「この薬で、夢を見ずに眠ることができます」
「Aにも、その薬を飲ませましたか？」
「ええ、飲ませましたよ」
「あなたはあの子ばかり気にしている場合ではありません」というマダム・ポンフリーの厳しい一言を聞き流して再び隣に視線を向ける。
安らかな寝顔だ。珍しく涎も垂らしていない。
その時初めて、ベッド脇のテーブルに置いてあった袋が目に入った。
「それは何？」
「あなたの賞金よ、三大魔法学校対抗試合の──優勝賞金」
「お薬を全部飲まないといけませんよ、ハリー」
ハーマイオニーが言葉をつっかえながら答えて、モリーがゴブレットを手渡した。
「ゆっくりお休み。しばらくは何か他のことを考えるのよ……賞金で何を買うかを考えなさいな」
「……金貨なんかいらない」
迷路から出てきてずっと必死に押さえつけてきたものが、どっと溢れそうだった。
「あげます。誰でも欲しい人にあげる。僕がもらっちゃいけなかったんだ──……セドリックのものだったんだ」
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
