赤葦さん家は今日もほのぼの。その2 (ページ39)

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39がんばれますようにページ39

土曜日の午後練前。
紗英と一緒に神社にやってきた。
最後の地区予選が、来週ある。
あ、茉那です。こんにちは。

インターハイなんて、夢物語だ。
今の私じゃ、今のチームじゃ、行けない。
それでも、少しでも、バレーに触れられるように、「がんばれますように」と神様に力をもらいにきた。神頼みって、あれだけど。

「あれ！コーチと研磨さんだ！」
「え？」

紗英が向いてる方を見ると、クロさんと研磨さんとおじいさんがいた。どっちかのおじいちゃんかな。

「茉那に紗英じゃん。」
「こんにちは」

「「こんにちは」」

「あ、じーさん、こいつら、俺の教え子。キャプテンと副キャプテン」

「若いねぇ。クロはちゃんとコーチやれてるのかな？」

おじいさんはクロと呼んだ。研磨さんのおじいちゃんなのかな。クロさんも研磨さんも、いつもは感じない柔らかな空気な気がする。

「とってもいいコーチです！」

「意地悪だけど」

「おい！茉那！！」

「意地悪だけど、的確なこと言ってくれるし、人をまとめるのが上手だし、とても勉強になってます」

「な、なんだよツンデレかよ」

「クロ。顔。あ、この人はね、俺らの代の監督だった人。猫又監督。」

「「へぇー！」」

おじいさんはとてもにこにこしていた。
私たちはそれぞれ自己紹介をした。

「今日は散歩に付き合わされてなぁ。可愛い教え子たちがもうすぐ地区予選だからってお参りしたんだよ」

「俺もクロに付き合わされた」

「なんだよ！お散歩って大事だろーよ！じーさんは足腰弱っちゃうし、研磨はゲームばっかだし！俺の配慮！！配慮！！」

「コーチお参りしてくれたんだー！」

「え、ま、まぁな！別に神頼みしなくたっておまえらはがんばるけどさ。まぁ、なんていうかな！な！」

「いや、こっちに振られても」

「俺はお前らの子どもの顔を早く見せてくれますようにとお願いしたよ」

そう言われたクロさんも研磨さんもすんって顔になった。

もう少しで地区予選。
がんばれますように。

* * *

2018・12・5