赤葦さん家は今日もほのぼの。その2

37*はさみとおかね* ページ37

夕食後、子どもたちが静かだ。
リビングのテーブルでまた何やらつくっている。

「何つくってるんだ？」

「「お金」」

テーブルには手書きの100円玉、500円玉、1000円札、10000円札、1000000円札がたくさんある。
なんて金持ちなんだ……


「おれがね、書く担当とコイン切る担当でね、かながね、お札切る担当なの」

最近、香菜ははさみに慣れてきて切る工作を楽しんでいる。よくまぁ、次から次へと思い付くな。

「おさいふもあるの。ピンク！アイスかいにいくんだぁ！」

「俺はね！がとーしょこら！」

ずいぶんな金持ち(工作上)なのに、買いに行くものは可愛らしかった。


「お金持ちになったら何したい？」

Aにそうきかれ、考えてみたがなかなか浮かばない。今が充分だからなぁ。子育てに余裕ある額があったらいいな。……と、現実的なことばかりがよぎった。

「お父さんは、あまりなさそうだよね」

「じゃあ、母さんはあるのか？」

「うーーーん。世界探検。家族みんなで」

「かないきたい！！！」

「えー、探検してたらバレーできないじゃん」

「じゃあ、おにーちゃんはおるすばんね！おとーさんとおかーさんとかなとふくちゃんとろうちゃんでいくから！」

「えー！寂しいし、バレーの練習でお父さんは残って！」

「父さんは母さんたちを守らないといけないからなぁ。将太も頼りにしてるんだけどなぁ」

「しょーがないなぁ！！」


もしもの話を家族で楽しんだ。
今くらいがちょうどいい。


* * *

2018・12・3

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