赤葦さん家は今日もほのぼの。その2 (ページ21)

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21大好きだからページ21

時間は遡って……

「将太、母さん家出した」

「え？！」

Aが家を出たあと、子ども部屋に行き、将太に伝えると心配と意地が混ざりあったような表情をしていた。

「………………………どーせ、かおちゃんとか雪ちゃんとか、賢人くんママのとこじゃないの……！」

さすがに慣れてきたらしい。よくわかっている。拗ね方というか、意地の張り方がAそっくりだ。それともAが6歳児レベルなのか…

「そうかもしれないけど、一生帰ってこないかもよ」

「そんなことないでしょ。おなかにあかちゃんいるのに」

「今日はなんで喧嘩したの」

「……」

「言えない？」

「おやくそくしたことやんないで、あとでやろうとおもってて、おかあさんにおこられた」

「そっか。わかってるのに怒られるとやな気持ちになるよな」

「…でも、遊びたくなって、遊んじゃった」

「遊んでもいいんじゃないか？」

「遊ぶより先にやんなくちゃいけなかったもん」

「それは将太も悪かったなって思ってるんだな。」

「うん……お母さんさ、俺のこときらいになっていえでしたのかな」

「そんなことないだろ。母さん、ちょっと気持ちを落ち着かせたかったんじゃないか？まぁ、わかんないけど。今から探しに行くけど、将太も行くか？」

「…………………」

いい感じに気持ちを誘導できたかと思ったらそんなことなく、将太は黙りこんでしまう。
Aが帰ってくるまでに気持ちが落ち着いていればいいか。

「ごめんな。最近、母さん怒りっぽいよな。将太のことが大好きすぎて心配なんだよ」

「なんでお父さんが謝るの」

「うーん…なんでだろうな。母さんが大好きだからかな」

「俺は？」

心配そうな顔で、飛び付いてくる。
そのまただっこしてやった。なんだかんだ6歳なんだよなぁ。

「将太も大好きだけど、好きの種類がちがうの」

「けっこんしてる人だから？」

「うん。そう」

「ふぅーん」

「将太もいつかわかる」

「そっかぁ…」

「じゃ、父さんは母さん探しに行ってくるからな。」

「…俺も行く」

「そっか。じゃあ、行こうか」

家を出ると、将太はいそいそと歩く。
時々振り返って、スピードを催促されているようである。香菜がいるんですけど……そんな速く歩けないよ。

「なんか、ホアカに入ったって目撃情報があったけど…」と言ってみると将太は猛ダッシュしていった。

「兄ちゃんは頑固だな」

「ね」

「母さんそっくりだな」

「ね」

* *

2018・2・19