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Aと別れて5年。まともな彼女はいたことがない。
…いや、別にまともじゃない彼女ならたくさんいたわけでもないが。
大学に入ってからは2,3人くらいと付き合ったはずだ。確か。
全員の顔も名前も学部も覚えてない。つまり、付き合ったというのはそういうレベルの薄いものだった。
基本、よく知らない人に急に告られ、相手の情報を何も知らないまま付き合い始めて。その後もべつに相手を知ろうとも思わず。
ゆえに俺からデートの誘いも連絡さえもしなかった。
当然1ヶ月ほどして相手は俺を捨てる。「そんな冷たい人だとは思わなかった」とか余計な、地味に傷つくような言葉を添えて。
ということをジンヒョンに説明すると、ヒョンは顔を引きつらせて俺に恐る恐る尋ねる。
「…ユンギって、童貞だったりする?」
「殴りますよ????」
相談するんじゃなかった。
一方ヒョンは降参のポーズをとって俺から一歩身体を引くにすると、
「オーケーオーケー。そんな恋愛初心者ユンギ君にアドバイスをすればいいのね。」
そしてふんぞり返った姿勢のまま足を組んで、その上に手を合わせて置く。
咳ばらいをまたして、俺の前に一本指を出して得意げに話し始めた。
「まずは第一歩から。食事に誘いなさい!」
ヒョンに急かされAとのトークを開いて、文面を考えて送る。
無事に遅れた安堵でヒョンの方を見たら「遅すぎるよ…10分かかってるよ…」と呆れたように言われた。
そして同時に昼休憩終了のチャイムが鳴った。
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作者名:てふ。 | 作成日時:2021年10月26日 20時