そらるさんが唯一｢ちゃん｣付けする女

(☆)そらる ページ4

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俺は客観的に見て、普通の大学生。

否、普通じゃないかも。

レポートは毎回高評価、態度も褒められ、グループ学習になれば、毎回｢一緒にやろうよ｣と 人が寄ってくる。


はたから見たら優秀に見える俺。
実際、周りの人よりかは言われた以上のことをこなす。





だからみんな、疑いもしない。

俺を褒め称えるだけで
本当の姿を、ちっとも疑わない。



Aちゃんがいなかったら、俺はきっと今頃……。

俺は 死んでいたか、死なせていたか、のどっちかだっただろう。







｢心理学の先生、可愛いんだってよ。｣

｢まじかよー。俺も とればよかった。｣

｢本当にそれ。たまにすれ違うぜ。｣







中庭の、低い苗木の後ろのベンチ。

そこでコーヒーを飲みながら今回のレポートをまとめていると、
風に乗ってどこからか、そんな声が聞こえた。





｢……。｣





Aちゃんを可愛いという人は、ごまんと居るだろう。

そしてきっと、そんな言葉を聞く度に、
俺は今みたいに……自分でも得体の知れない黒い心に支配されていく。




アイツらが、Aちゃんの何を知っているんだ。

Aちゃんの事は可愛いとは思えても、

誰にも、Aちゃんと俺を
引き剥がすことなんてできない。




それほどに長い年月が、俺達にはある。









｢ウザイなー……。｣






缶コーヒーを一気に飲み干すと、その空き缶を近くのゴミ箱に投げる。


見事、ゴミ箱に入っていった空き缶を見て、

またAちゃんに会いたくなった。









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