7話 ページ9
『……味噌汁ッッツ!』
「わっ…!ちょっとA兄……」
鼻腔をくすぐる味噌の匂いと朝の音で目が覚める。
蝶屋敷か。
すぐそこに蝶がいるのが見える。
ゆっくりと体を起こし、ムッとした表情の無一郎の頭を撫でる。
『ごめんごめん無一郎〜、朝ごはんありがとな』
「もう少しで溢すとこだった」
俺がなだめるように笑うと、更にムッとして俺に抱きついた。
無一郎は柱になる前から俺の継子(仮)として稽古をつけてやっていた。
そしたらなつかれてしまって、A兄なんて呼ばれてる。
無一郎は割りと嫉妬深くて、心配性。
だから今日みたいに、病気や怪我をして帰ってくると怒ってしまう。
「泣きながら運ばれててびっくりした」
『もう治ったから』
「そういうことじゃなくて……はぁ、」
ぎゅっと回された腕に力が入る。
「もっと頼って。僕だけ。」
俺は溜め息をついてベリベリと無一郎を引き剥がす。
『無一郎〜〜?鬼殺隊に入っている以上、そういう訳にはいかないの』
可愛い顔にきゅ、と不機嫌なシワが寄る。
「……A兄は僕のこと嫌いなの?」
『どうした!大好きだよ無一郎〜』
とワシャワシャ頭を撫でてやる。もうわっしゃわっしゃする。
でも全然機嫌がなおらない。
それどころかうつ向いてしまった。
『む、むいちろ……』
「ずっと弟扱いで、僕のこと見てくれないじゃん。意地悪」
『そりゃ無一郎のこと可愛いしいい弟だし…その、むいちろ……あの…』
何を言ってもそっぽを向く無一郎。
こんなこと初めてでどうすればいいかわからない。
「A兄、わかんないみたいだから教えてあげる。顔あげて」
威圧的な無一郎に圧され、素直に顔を上げた。
瞬間柔らかいものが触れたと思ったら、温かいものが侵入してくる。
『ん…っ!?、ぁ…、む、無一郎!』
戸惑いのあまり顔を背ける。
「A兄?こういう事だよ…、わかったら僕のことちゃんと男としてみてね?」
そう言って額に接吻され、障子を開ける。
ぽかんと口を開けてしまう俺に、無一郎は不敵な笑みを浮かべる。
「また接吻するよ」
『あっ!、この、ばか!』
無一郎が出ていってしまってからも、しばらくは放心状態だった。
可愛い俺の弟が……あんな……
『けだものォッッツ!』
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作者名:papo | 作成日時:2019年9月10日 23時