15話 ページ17
「う〜〜む、これは…どうしたものか。」
自邸で過ごすことがほとんどないAが、もしかしたら本部の個室で寝ているかもと思い覗いてみると、案の定眠っている。
もう朝日も昇っているし起こさねばならないが、呼吸の感じからしてついさっき眠りについたようだった。
日頃から寝不足の彼に早起きさせるのは些か憚られるが、今日は柱合会議があるので遅刻させるのも可哀想だ。
「起こす、か」
浅い呼吸を繰り返す彼の頭を撫でながら声をかける。
「A、起きれるか?今日は柱合会議だ」
『うぅ…っ煉獄さ…?』
蕩けた瞳が俺をとらえるので、なんだかぐっと気持ちが苦しいが我慢だ。
「あぁ、早めに行こう。君はこの前遅刻していたから」
『んん…、はい』
もそもそと蛞蝓のように布団から這い出て、隊服をもぞもぞ着る姿が面白くてつい笑みが溢れる。
「君は面白いな!可愛らしい」
『可愛らしいって…褒められてる…気が、しな…、』
がんばって返事をしようとしていたが、途中で頭が垂れてしまった。
「よもやよもやだ、隊服までは頑張ったのだから運んでやろう」
寝起きでいつもより暖かいAを抱き抱える。
『煉獄さん』
「うん?どうした、どこか痛むのか?」
『ひひっ、ありがとぉ』
「ん"っ、君なぁ…っ」
あまりの可愛らしさに心臓を握り潰されたような苦しさを感じて、もう何か泣きそうにすらなる。
「君を中庭まで運ぶ褒美に、口吸いをしてもいいだろうか」
『え!?煉獄さ…っ、』
「駄目か?」
彼の耳元で低く囁くと、ひく、と肩が震えるのがわかる。
困って眉を下げながらも俺の首に腕を回してくるA。
柔らかく、しっとりした彼の唇が押し付けられる。
『ん…っ、これで、いいですか…』
「ふふ、愛らしいな」
当の本人は恥ずかしさからか、きゅ、と縮こまってしまった。
「よし、君からの褒美も貰ったし柱合会議も気合いを入れて行くか!」
『そんなの無くても気合い十分でしょ貴方は!』
まぁ目が覚めてよかったじゃないかと俺が笑うと、彼は馬鹿だと少し怒ってから笑った。
328人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:papo | 作成日時:2019年9月10日 23時