【テニプリ】寡黙少女とテニス (ページ8)

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Quiet_5 ページ8

眼前に広がるのは何面もあるテニスコート

周りをぐるぐると観察する私とは裏腹に

若はずっと同じ人を穴が開くのではないかというほどジッと睨みつけていた

と、しばらくすると…私達の近くに二人の男子生徒がやってきた

「日吉、お待たせ！あれ…？貴方は…」

「…火野水、癒衣」

「！！ゆ、癒衣！お前」

「若の友達に失礼駄目だから…その」

「そういえば無口なんだっけ…無理しなくて良いよ」

「無理してない…大丈夫、よろしく」

私がそう返すと二人も名前を教えてくれた

若に聞いていたとはいえ、改めてこう面と向かって話すと友達になったようで嬉しい気がした

そこからは四人で見学をしていた

コート周りには黄色い声を上げる沢山の女子生徒と部員であろう男子達が応援をしていた

そんな中、一球の零れ球が四人のいる方向に飛んできた

あまりのその球のスピードに三人が目を見開いている…このままでは当たる

私はつい癖で、傍にあったラケットを拾ってそのボールを返してしまった

「癒衣…？」

「火野水さん？」

「！」

時すでに遅く、返したボールはそのままコートに向かって飛んでいき、音を立てて落ちた

それを見た周りの生徒は皆、私を見ていた

しばらくして、コートからやってきたのは

「お前だろう、今返した奴」

「…」

「いいんじゃねぇの、あの反応力

生憎、男子テニス部しかねぇからその才能は活かせやしねぇが…

部員の無礼の詫びだ、一戦するか？」

若がずっと見ていた人………

少しだけうずうずしてしまって私は首を縦に振ってしまった

それに異議を立てるのは若の方だった

「ゆ、癒衣！お前無理して受けなくてもいいんだって！

お前、連れて来たのは俺だし

お前本当は忙しいのに」

「…」

心配そうに私を見つめる彼

だから、私は彼の傍まで近づいて耳元でそっと囁いた

「大丈夫、私…絶対負けないから……見てて」

準備は何もなかったのでテニス部に貸してもらった

ラケットは彼の予備を借りた

何となく、落ち着かなかった