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Quiet_34 ページ37

意識が戻る、果たして自分が何をやっていたのか

まだ、霞がかかった意識の中で記憶を手繰り寄せ、ふと思い出す

体を起こそうと力を入れたが動かない

原因である頭上を見れば、ベットヘッドにビニール紐で絡められた自分の両手首が見えた



「あぁ…起きたの」

「…何で、こんなことするんですか…!」

「口封じって言ったら…どうする?」



指先が俺の首筋を伝う

その感覚だけで恐怖を感じ、動けなかった



「大丈夫、怖いことはしないから」

「もう、すでにしてます…よ!!」

「ッツ!!」



せめての抵抗に腕の痛みに耐えて頭をぶつけた

よろめいた火野水さんが頭を抱える

その時、前髪の下からは黄緑色…写真の少女と同じ目の色が見えた



「黄緑の目…写真の、人…?」

「あっ……」

「それが、理由ですか?」



明らかな動揺

しばらく、動かなかった彼女だったが何か決めたのか

俺の首を片手で押さえながら、ビニール紐を切り出した



「逃げたら…許しません」

「に、逃げないからその手は…ね?」



ちょっと、余裕が出てきた

俺がそう伝えると仕方なさそうに手を外し、紐を切ることに専念し始めた



「……」

「……えっと、その…俺が悪かったです

それで、その…どういうこと?変装?には、事情があるの?」



直球で聞いた

黙り込んでいた彼女は脇にあった写真立てを抱きしめると

顔を隠し、話し出した



「……しばらく、考える時間が欲しかったの」

「考える時間?」



俺の返答に彼女は苦し紛れに答えた



「テニスが上手になっていく私を褒めてくる母さんも

気に食わないくせに応援してくる父さんも大好きだったの

でも、私の我儘で両親が死んでしまったあの日から何が正しいか分からなくなった……」

「……」

「無理矢理、お願いしてしまったの…私達が

そうじゃなきゃ、こんなことにならなかったって…

だったら、いっそやめてしまえばいいってそう思いさえした!!」



写真を抱え、俯き聞いたこともないぐらい荒げられた声で悲痛の叫びをあげる

カタンと物音を立てて写真立てが落ち、空いた手が銀色の髪をぐしゃぐしゃに掻く

銀色の下から纏められた栗色の髪が見えた

それは、写真の中の少女でしかなかった

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めめこむまーりん(プロフ) - 修正が終わるの楽しみにしてますね。 (2018年10月10日 12時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零夜&李香 x他1人 | 作成日時:2012年6月26日 1時

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