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Quiet_1 ページ4

小学五年生の冬

時季外れだと言うこの頃に一人の転入生が来た

転入生は火野水癒衣と名乗ったわけではないが先生がそう紹介していた

陰のありそうな少女だった

恐らく、こんな奴が隣に来るのは誰しも嫌だと思うだろうが

その貧乏くじを引くのは俺で確定していた

ポッカリと空いた俺の隣を指さした先生はその席に座るように彼女に促した



『あぁ、日吉君

火野水さんに学校案内と勉強の手伝いお願いしますよ』

「わかりました…」



会話が終わり、彼女は黙って席に向かって歩き出した

それでも相変わらずその顔は見えなかった

それが不気味で俺以外の生徒はさっさと視線を逸らしていた

俺はというとそうはいかず、席に座った彼女に声を掛けた



「…日吉若だ

放課後空けておけよ、勉強は分からなければ聞いてくれ」

「…」


何も答えてさえくれなかった

それどころか自分を無視し、ノートと鉛筆を出し

何処か他の国の文字を使って何かを綴り続けていた



「…チッ」



第一印象は感じが悪い、その印象はしばらく、ずっとそうだった

不服で仕方ないことだったが何故か運命なのか必然なのか

席替えのたびに隣になり六年のクラス替えも同じクラス

二年間、隣にいたが声は一回も聞いたことがない相変わらず不気味な彼女

そんな不可解な奴が隣にいると気になるのが人間の性なのだろうか?

俺はよく、彼女を見ていた

無造作に開かれ、活用されない教科書と対照的に

常に彼女の書く文字で埋め尽くされる便箋とノート、原稿用紙

そんな勉強の体制のなっていない彼女が時々、俺が答えに困ると

大切に扱っている原稿用紙を千切って答えを書いて渡してくれること

卒業も近づく時期になると俺の彼女に対する印象は少し良い方に傾いていた

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めめこむまーりん(プロフ) - 修正が終わるの楽しみにしてますね。 (2018年10月10日 12時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零夜&李香 x他1人 | 作成日時:2012年6月26日 1時

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