Quiet_13 ページ16
授業が終わり、生徒が下校していくのを眺めながら
今日は部活の休みを貰ったので教室で一人原稿を書いていた
すると、鞄に入れていたスマホの着信音が鳴った
編集長かもしれないと思い電話を取ると相手は意外にも黒部由紀夫さんだった
「…お久しぶりです」
『今、いいですか?』
「大丈夫です」
『合宿参加の確認とU-17の訪問予定について伺いたく、連絡しました
今すぐ返答できますか?』
相も変わらず、事務的だ
面白味もないから、今度戻るときには虫でも捕まえて帰ってやろうか
…蟻にしておいたら、あとで至小父様にプレゼントできそうだ
たまには黒部さんに悪戯をするのも面白そうだと片隅で思いながら予定を洗いなおす
「…合宿は不参加、訪問は夏頃に」
『わかりました、詳細な日程が分かれば後程、連絡をください』
その言葉を聴いた瞬間しばし沈黙
去年の悪夢が思い出された
「…いや、絶対に伝えません
また、去年みたいに意図的に帰国日程合わせて二十連戦なんて勘弁です」
『バレてしまいましたか…
年に一回、貴方の成長データを取る絶好の機会なのに…我儘ですね』
「…我儘は貴方です、黒部さん
私、去年だったら小学生です…キャパオーバーです
今年だって変わりません」
『完封しきったんですからその言い訳は通用しませんよ』
そう言われるとぐうの音も出ない
しばらく、悔しくて黙っていると黒部さんは急に話題を変えてきた
『そういえば、在学中の学校のテニス部に入ったそうですね
しかも、特例措置で大会参加権まで頂いたとか…』
「至小父様はいいって言ってくれましたよ
黒部さんはダメだっていうんですか?」
『いいえ、構いませんよ
一応、データにはなりますから…但し、程々に』
「分かってます、本気でやるのはU-17でだけ…ですよね」
『わかっているなら、結構です
また、連絡します
体調管理はしっかりしてください』
そう言って通話を切ってしまった
相変わらず、あの人らしい単調な内容だったけれど
今回はいつもより優しい気がした
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めめこむまーりん(プロフ) - 修正が終わるの楽しみにしてますね。 (2018年10月10日 12時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零夜&李香 x他1人 | 作成日時:2012年6月26日 1時