キミは下僕。2 (ページ39)

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「Aが付き合ってくれるなら、スンアと別れる。Aが望むなら、他の女とも一言も口聞いたりなんかしない」

特別美人でもない普通の君なんかの心が欲しくて

俺は必死だ、それがすごく惨めだ

「私は、そんなこと望んでないよ」

俺が頼んでいるのに

「何が気に入らない？俺の顔？スタイル？声？なに？あるなら言って、直すから」

君は俺を拒絶するの

「テヒョン君にダメなとこなんかひとつもないよ」

「じゃあ、どうして……」

「だって、テヒョン君は私のことが好きじゃないから」

好きなんて感情が

まず俺には分からないんだよ

「テヒョン君て、女の子からフラれたことないでしょ」

そう、Aは俺を哀れむような目で見ていた

確かにそうだと思った

フラれたことなんてない、気になった女は自ら俺に好きだと言ってきたから

「テヒョン君は、たぶんムキになってるんだと思う」

俺はムキになっているんだろうか…

「けど、私ごときのためにテヒョン君がかまう必要はないよ。

テヒョン君には、地味な私よりも、華やかで綺麗な女の子達の方が随分似合ってる」

その瞬間、悟った

これが、フラれるってことなんだなって

まさか、Aなんかにフラれるなんて…

屈辱だよ

確かに、俺はムキになっていたのかもしれない

俺に、色目を使わないAを

俺と付き合うことを望まないAを

俺とは違って、綺麗で真っ直ぐで

正直な君を

俺は気に入らなかったんだ

「ほら、イルカのショー始まるよ！行こう」

ただ１つ分かったことは

彼女は、俺が見てきた女とは違うってこと

俺が欲しいと望んだって、手に入らない

俺が告白したって、君だけと付き合うと言ったって、喜ばない

どう手に入れればいいのかさえ、分からないそんな彼女

だからこそ、欲しくてたまらないと思った

「わっ！見てみて！イルカ跳んだ！すげーー！」

ねえ

俺が何を言っても君の心に届かないのは

俺が君を愛しているという気持ちがないから…？

それとも、もう君の心にはあいつがいるから…？