81話 ページ35
長尾 side
「まぁ、こうやって長尾は一人でも残って練習してるし、努力家なん知ってるから、大丈夫よ。絶対ダンスだって追いつける」
長尾「…そうかな」
「そうよ笑それに、長尾はええやつやし?笑」
長尾「えぇ?」
「だから、長尾にも長尾らしい長所があるからいっぱいいっぱいになる必要はないと思う!」
長尾「ありがとうございます」
「ふふ笑何もしてへんよ?笑」
そうやってまたニコニコ笑うAちゃん
この笑顔にどれだけ救われていることか。
長尾「Aちゃん」
「ん?」
長尾「お願いがあるんですけど」
「ええけど…。なに?」
長尾「俺も下の名前で呼んでほしい」
「あはは笑そんな改めて言わんでもええのに笑」
長尾「だって!!」
みっちーはみっちーで、高橋君は恭平だし。
西村もにしたくで、風雅も呼び捨て。
なのに俺だけ長尾やで?寂しいやん。
ずっと呼んで欲しくて伝えるタイミングをうかがってた。
「謙杜」
長尾「…はい」
目を見つめて呼んでくれる。
想像以上に早まる鼓動に少し戸惑いつつも、喜びが隠せない
「ふふ笑耳赤いで?笑かわええなぁ笑」
余裕そうなAちゃんの表情に悔しさが湧いてくる
いつも俺ばっかドキドキさせられっぱなしやん。
年上の余裕…?一歳しか変わらんやん。
中学生と高校生ってなると別なんかな。
長尾「Aちゃんの方が可愛いで?」
Aちゃんの耳に髪をかけながらそう伝える
覚悟しててください。
後輩だからって油断してたらあかんで?
今度はAちゃんが耳まで赤くする番。
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you side
「はぁ…はぁ…」
ずっと踊りっぱなしだったからか、流石に息が切れる。
一回休憩しないと…。近くにあったタオルで汗を拭きながら、座る。
「…」
草間「お前それやめや」
「うわぁ!?」
いつから見てたのかわからないけど
リチャ君が壁によっかかりながらこっちをじっと見てくる
「…びっくりした」
草間「お前ストレス溜まるとバカみたいな練習の仕方する癖直せ」
私のリアクションはスルーなんだ…と思いつつも、リチャ君に言われた言葉に思わずうつむく
「すみません」
草間「…舞台うまくいってないん?」
「…少し」
周りのキャストさんも良い人ばかりで凄いありがたい。
でも、やはり、私に刺さる目線に未だにキツさを感じる。
勿論それだけじゃない。想像以上に舞台での演技は別物で。自分の実力不足も日々感じさせられる。
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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年5月22日 13時