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昼休み、ご飯を食べ終わってからクラスメイトのノートを集めて職員室まで持っていく。日直の仕事の一つだ。数十人のノートは少し重い。階段で躓いたりしないように慎重に歩いていると、前から来た人とすれ違う。……の後すぐくらいにその人が後ろから肩を叩いてきた。
「大変そうですね、手伝いますよ!」
黒く長い髪を揺らしながら近付いた彼女は、ちょうど昨日その顔を見た人物。月ノ美兎委員長だ。
「あ、ありがとうございます……、月ノ先輩」
「いえいえー、後輩が困ってるのに助けないなんて先輩としてダメでしょ!」
そう言いながら私の持っていたノートの山を半分程持つとスタスタと行ってしまう。随分と軽くなったノートの山を持ちながら先程よりは全然軽く早い足取りで彼女の後ろを追った。
二人で廊下を歩く沈黙の時間が少し気まずくて口を開く。本当は更なる感謝の気持ちとかを口にするべきだったのだけど、口からついて出てきたのは昨日の疑問の事だった。
「あ、あの……月ノ先輩って剣持くんと付き合ってる……んですか?」
「えぇっ!?いやいやナイナイ!有り得ませんよそんなの!」
顔が青白くなるくらい表情がわかりやすく変化して、首を思い切り横に振っている先輩。
その言葉に少し安堵すると共に、本当かどうか疑ってしまう私がどこかに居た。先輩はそんな私を察したのか、にこ〜と笑みを浮かべて私の耳に顔を寄せまるで内緒話をするかのように話し始めた。
「剣持さんのこと好きなんです?いや〜、イイですね、青春してるなぁ!かわいい〜」
職員室にノートを届けた後、先輩はスマホを取り出してLINEを表示させた。
「もう知ってるかもですけど、私月ノ美兎です。LINE交換しません?」
その言葉に一も二もなく頷いてそのままQRコードを交換する。先輩は私のLINEの名前を見てAちゃんかぁと呟いた。
「それじゃ、剣持さんになんかあったら連絡しますね!」
そう言って去っていく先輩をただ見送った。
……いったいなぜ?という疑問は誰も解消してくれそうにはなかった。
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カレーぱン(プロフ) - 葛さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (1月28日 18時) (レス) id: 5b34eff9f0 (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - コメント失礼します!とても面白くて続きが気になります。更新頑張ってください🫶 (1月28日 10時) (レス) id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カレーぱン | 作成日時:2024年1月26日 18時