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中間テスト当日はクラス全体が少し重い雰囲気を漂わせている。「勉強してねーわ終わった」とか「問3ってこの式使うので合ってる?」なんて声が聞こえて来る。
この間のことがあって頭に剣持くんのことが少し引っ掛かっている。チラリと剣持くんの方の席を見ると詰まらなさそうな顔をしながら教科書かノートを読んでいた。
手には包帯みたいな物を巻いて、自分の頬をその手に乗せて頬杖をついている。
剣持くんの友達はちゃんと勉強している人が多いみたいで、ザワザワとした空気なのに彼の周りには誰もいない。
次のテストが始まるまであと5分くらいあるのに勉強熱心だなぁ、なんて思いながら見ていると、見過ぎてしまったのか彼が視線を上げた。
ばち、と目が合って慌てて顔を逸らす。
関わりの無い人間に見られているなんて気持ち悪い以外ないだろう。まるで何事もなかったかのように教科書を取りだし私も勉強していますというポーズを取った。そんなフリをしてしばらくしてから今度はバレないようにほんのちょっとだけ見てみる。既に彼の視線は自分の手元に落ちていて、こっちのことを気にしてもいないらしく胸を撫で下ろした。
「A〜タカセンの言ってたプリント持ってる?」
「あ、うん。みたい?」
「お願い!直前に見とこうと思ってたのに忘れてたわ笑」
目の前の席に座っている友達が突然話しかけて来て意識がそっちに向く。1枚のプリントを二人で見てあーだこーだ言っている内に剣持くんのことは意識の外に出ていってしまった。
だから、剣持くんがこっちを見ていたことに気付くことはなかったのだ。
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カレーぱン(プロフ) - 葛さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (1月28日 18時) (レス) id: 5b34eff9f0 (このIDを非表示/違反報告)
葛(プロフ) - コメント失礼します!とても面白くて続きが気になります。更新頑張ってください🫶 (1月28日 10時) (レス) id: 039532f02f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カレーぱン | 作成日時:2024年1月26日 18時