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『何だか訳がわからないまま、こんな感じで卒業になってしまいましたが、本当に今までお世話になりました。』
「こちらこそ、長い間うちの店で働いてくれてありがとう。Aちゃんがずっと居てくれたからやってこれたんだよ。」
急だったので挨拶らしい挨拶は出来なかったが、店長に今の気持ちを伝えた。
「また別の日にみんなで送別会やろう。」
『ありがとうございます。』
零くんが車を取りに行っている間、店長とお店の前で待っていた。
「また気が向いたらいつでも来てよ。もちろん安室さんには内緒でさ。」
店長がいたずらっぽい笑みを浮かべて口の前に人差し指を当てながら冗談交じりに言う。
『ふふ、その時はよろしくです。』
安室さんの車が到着したので、店長に手を振って車に乗り込む。
本当にこれが最後なのかと思うほど実感はなく、明日からもまた出勤してしまいそうな勢いだ。
『なんでこんなことしようと思ったの?私に言えば良かったのに。』
「身を持って分からせたかったからだ。お前だって水商売長いんだ。例え男を相手にする仕事だとしても、仕事に対してプロ意識を持っていることは分かる。でも俺の気持ちも分かってほしくてな。」
『だから辞めない理由は生活の為だって言ってたじゃない。それに前零くんに早く辞めたいとも話してたし。』
「だから考えたんだ。それも普通に伝えるだけじゃつまらないだろ。これぐらいでいいんだよ。お前の長かった水商売のラストにふさわしくないとな。」
『へえ。色々と考えてくれてたんだね。』
「当然だ。」
『てか私が他の席に座ってる間、女の子と何話したの?私、それが気掛かりで仕方なくて。』
「ああ。店長が言っていたが、彼女も全部今日のことを知ってたから、大したことは話してない。」
『え、りほちゃん知ってたの?』
「店長が予め話しておいたらしい。」
『なーんだ。少し安心。それでも零くんが他の女の子と喋るだけで嫌だったけど。』
「それはお互い様だろ。むしろ俺の方がはるかにダメージを受けた。」
『はいはい。すみませんね。』
家に向かうのかと思いきや、零くんは明らかに違う方向に向かっていることが分かった。
『あれ?家に帰らないの?』
「ちょっと寄り道して行こう。」
『私はもちろん構わないけど。零くん明日は早くないの?』
「明日はポアロを昼からにしてもらったんだ。」
『ほう…分かったよ。』
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まゆたろう(プロフ) - n.uさん» ありがとうございます(^^)誤字ありましたね、申し訳ないです。ただいま訂正しました!あと少しですが、お楽しみいただければ嬉しいです。 (2018年9月27日 17時) (レス) id: 1019147dc2 (このIDを非表示/違反報告)
n.u(プロフ) - 更新楽しみにしています。146.に誤字が見受けられます。毛利さんの台詞「○○ちゃんを流せたら」ではなく、「○○ちゃんを泣かせたら」ではないでしょうか? (2018年9月25日 7時) (レス) id: a82032a9c1 (このIDを非表示/違反報告)
まゆたろう(プロフ) - 紫蝶桜さん» いえいえ(^^)そう言っていただけて良かったです!また何かあればお気軽にコメントくださいね♪ (2018年8月29日 18時) (レス) id: 1019147dc2 (このIDを非表示/違反報告)
紫蝶桜 - まゆたろうさん» おぉっ!入り方が上手いですね!自然で分かりやすいです!リクを叶えてくれてありがとうごさいます! (2018年8月29日 14時) (レス) id: eb2d3ebf3e (このIDを非表示/違反報告)
まゆたろう(プロフ) - 紫蝶桜さん» 書いてみましたが、いかがでしょうか?まだ途中ですが、入りはこんな感じにしてみました! (2018年8月24日 23時) (レス) id: 1019147dc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まゆたろう | 作成日時:2018年7月29日 1時