一途な少女とオタ嫌いな彼－１－ (ページ28)

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みんなにファンサをもらいすぎて周りから何か言われないか心配だったが、どうやら周りの人はみな自分にやってくれたのだと思っているようだ。

ばれなかったことが嬉しかった。

なんだかやってはいけないことをしているような感覚だった。

ただもうみんなにファンサをしてもらうのは自分だけ贅沢だし、周りにばれた時が怖いのでやめてもらおうと思いながら春夏と別れ家へと帰ってきた。

＜渡辺side＞

柚翔ちゃんから来た励ましによって何時もより元気がでた。

それでも何回も立つこの歴史ある舞台は緊張する。

今日もみんなで円陣を組みいざ登場してポーズを決めて俺は固まった。

俺の目の前にいる女の子はさっきまで俺と連絡をしていて、用事があってこれないと言っていた柚翔ちゃんだった。

いつものようにきらきらとした目で俺を見ながら微笑んでいる彼女に一本取られたと思ったとともに、愛おしく感じた。

そこからは適度なファンサービスの嵐だったと思うが、俺以外の人がファンサをするたびにどこか気に食わない部分が出てくるような感情が芽生えた。

それがいいことなのか悪いことなのかはまだ分からなかった。

ただ取られたくないという思いだけが消えなかった。