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今度は私が麦茶を注いでいると
高地さんが思い出したかのように
「あ、そうだ」
玄関に置いたままのいっぱいの荷物の中から
一つの紙袋を持ってきて
その中の箱をテーブルの上に置いた。
それはどうみでも“スマホの箱”。
「これ、Aちゃんのね」
『えっ？！…でも』
「いざって時に連絡が取れないと困るし
ってか俺が連絡取りたいから。
持ってて欲しいんだよ」
私の前に置かれた箱をそっと開けた。
ホワイトのスマートフォン。
設定はすでにされているようで
連絡先には一件。“高地優吾”が登録されていた。
私が松村さんの着せ替え人形になってる間に
買ってくれたのだという
スマホ…まさかこの私が…。
「まぁ、軽い気持ちで持ってて」
『ありがとうございます…！』
大事に手に握りしめてお礼を言った。
連絡先にある高地さんの名前を見て
ついニヤけてしまったりして。
―――私…相当気持ち悪い顔をしていたと思う。
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作者名：ゆづり | 作成日時：2020年10月17日 23時
