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63*yugo ページ14
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「ったく。北斗のやつ…」
何回か北斗に電話してみたけど全く出る気配がない。
完全にスルーされてるんだろう。
そして思ったことは
Aちゃんへの連絡手段がないこと。
恐らく彼女はスマホを持ってない。
出会ってから連絡を取り合う理由がなかったから
うっかりしてたけど…
このご時世にスマホは必需品だ。
そもそも彼女は
持っているものが少なすぎるし欲もない。
…彼女の生い立ちに原因があるのか。
何かを抱えてるのか
確かに彼女はここにいるのに
――どこか
…俺の知らないとこにいるように感じる時があって
でも俺にはそれに踏み込む勇気も
資格もない
―――はぁ…情けない、俺…。
ポケットの中のスマホがブルッと震える、
何度電話をかけても出ないくせに、
なぜか北斗からラインが来た。
ふざけたスタンプが押されていて
これはしばらく帰って来なそうだ。
“終わったら必ず連絡しろ”と送信して
俺は一階にある携帯ショップに向かうことにした。
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作者名：ゆづり | 作成日時：2020年10月17日 23時
