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あの会合から数日が経ち、王宮はとても平和だった。
初日の日、会合が終わって各々帰り支度をしているときだった。
YG「Aちょっと話がある。」
JM「俺も行く、いいでしょ。」
玧其様に着いていくとそこは彼の執務室で、號錫さんも中にすでにいた。
YG「明日からAには男装して智旻の側近としてついてもらうから。」
JM「は?」
HS「異例中の異例、だからね…」
まぁ…この時代女性が男性の、ましてや王族の世話係でもなく側近になるなんて異例すぎるのだ。
王宮の仕事に詳しくない私ですら聞いたこともないし、見たこともない。
『……御意。』
JM「聞かなくていいよ、俺の側近なんだから俺に決定権がある。」
YG「…Aの安全のためだ、側に置いておきたいなら性別を偽る必要がある。お前が一番ここのことわかってるだろ。」
智旻様は俯いてしまっていて表情は見えなかったけど、拳を握って体を震わせていた。玧其様の言葉に返事をすることもなく彼は戻ってしまった。
HS「なるべく気にかけるけど…本当に気を付けて。ここはまだ敵だらけだから…」
號錫さんが悲しそうな顔をして私に韓服を渡してくださった。
敵だらけ、という言葉が気になったけどこの雰囲気では聞きづらい。
YG「お前がここで安全に過ごすための武器だ。苦労をかけるが、あいつを頼む。」
玧其様が智旻様を思って私にする願いに背くなどできない。
この日から私は男装をして王宮で過ごすことになった。
・
一緒に智旻様と過ごしてわかったことはとにかく仕事量が多い。それを支える私や柾國さんも同じくらいに。
そしてその仕事に飽きたのか嫌なのかわからないがとにかくすぐに主が逃げる。
……そう、逃げるのだ。今も探している最中である。
JK「Aいた?!」
『いません、このままだと次の予定に間に合うかわからないので柾國さん先に行っててください。見つけ次第連れていきます。』
JK「Aの方が見つけるの得意だし…そうするよ、頼んだ。」
柾國さんが言う通り、ここ数日で主が逃げた回数は10回を超えるが私のほうが圧倒的に速く、多く見つけ出していた。
『…今回はあそこかな。』
きっと今の主は糖分不足。そんなときに向かう場所は2つ。1つ目は町のお気に入りの茶屋だが、王宮から出るのが困難なことと次も予定があることから今回その可能性は低い。
となると残る場所は一つ。
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作者名:くぅ | 作成日時:2023年11月19日 21時