六 ページ6
『智旻様から預かった書類をそのまま渡したのですが…』
YG「智旻?お前は何だ。」
『本日から智旻様のお世話係を担当します、Aといいます。』
YG「……ほぅ、」
突然立ち上がった皇帝は、すぐ近くに置いてある剣を素早く持って私の喉元に先端が触れるか触れないかのギリギリに向けてきた。
YG「智旻が暴走したら止めるのがお前と柾國の仕事だ。お前にはそれとは別の仕事として俺に智旻の行動を報告しろ。」
『……智旻様が許可をくださるのであれば、報告します。』
YG「俺の言うことは聞かないと…命が惜しくないのか。」
『私が仕えているのは智旻様であり、帝ではないので。』
そこで尽きる命ならそれまでだったということだろう。それにしても本当に首が飛びそうだ。
智旻様はなんのために私をここに送ったのだろう。
そんな事を考えて皇帝からの鋭い視線から顔を逸らそうとしたとき。
YG「…あいつにしてはいい女を選んだな、これからあいつを頼む。」
今…なんと?私は認められたの?
後宮から一歩も外に出たことがない私はこの国についても、ここの仕組みについてもまだほとんど知らない。
でも、皇帝から認められたということはここではとても大きな意味があるのかもしれない。
JM「…一言余計だし、俺の大事な子に物騒な物向けないでくれる?」
突然後ろから私を抱きしめる何か、一人しかいないのだけど。
ふわりと香る花の香に一気に緊張が解けた。
YG「大事な子、ねぇ…お前にも守りたいものができたんだな。」
JM「何言ってるの?俺はずっと皇后のこと蝶よ花よと大切にしてたじゃん。」
YG「なんでお前が大切にするんだよ!俺の女だ。」
JM「そんなこと言うと仕事終わんないって泣きついてきても手伝わないから〜」
この少しの時間で二人の関係性が大まかに理解できた。
これが“犬猿の仲”というものだろうか。
やはり、先行きは不安である。
242人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くぅ | 作成日時:2023年11月19日 21時