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「“俺”の宮へ、ようこそ。」
『……俺の?』
私が今、無理矢理連れてこさせられたのは第二皇子の宮…なはず。
ここは後宮ではなく皇帝や第二皇子が住む王宮だから。
「?さっき伝えただろ、第二皇子の世話係って」
『その第二皇子が見当たらないのですが…』
「だから!俺!!」
『………はぁ?!』
この…いかにも遊んでそうな頭空っぽです!みたいな目の前の男が皇子?
なんの冗談だ。笑えない。
JK「言いたいことも考えてることもわかりますが…残念ながら目の前のお方が貴方の君主になります。」
『………これまでの御無礼をお許しください、』
「うんうん、許そう。」
ムカつく…こんなやつのお世話係なんて。
「お前は俺のものなんだよ、俺が捨てるまではね。」
『じゃあ…さっさと捨ててください。』
「気に入ったものは中々手放さないから、どうかな。」
JK「諦めてください…誰も智旻様から逃げられないので。」
私はこれから柾國さんとこの暴君に仕えなければならなくなった。
後宮での平和な暮らしがこの日に終わった。
そして、新たに目まぐるしいほど忙しい日常と感情が私を襲うなんて思いもしなかった。
「手始めにそうだな…あ、来るときに一番豪華な宮殿見なかった?」
『…見た気がしますが、』
「そこにこの書類届けてきてよ、ついでに自己紹介もしておいで。」
『自己紹介…ですか?』
「俺の世話係ですって、そいつとはこれから会う機会が多くなると思うから。」
『誰なんですか?』
「会ってからのお楽しみだよ〜じゃ、よろしく。」
なんで言ってくれないの?柾國さんが不自然に微笑んでいる気がする。なぜあんなにも嬉しそうなのか聞いてから行けばよかったと後悔した。
YG「おい、このふざけた書類はなんだ。ころされてぇのか」
一番派手な宮殿と聞いて気づくべきだった。そんな場所にいるのは皇帝くらいだと。
そして頼まれた書類を渡して自己紹介をしようとした矢先にこの発言。
ここでの暮らし、前途多難。
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作者名:くぅ | 作成日時:2023年11月19日 21時