1.お嬢様、今度こそ嫌われないように。 ページ2
今日で、神山高校に転校して二週間が過ぎました。
なぜベタな転校初日ではなく、こんな中途半端な時期から描写するのかというと、何のことはない、特別に目立ったイベントは何も起こらなかったためです。
自己紹介も平凡に行ったせいか、クラスメイトはほどほどに興味を持つという形で、数日後には物珍しさから話しかけられるという機会も減りました。
だからでしょうか。
しばらく経っても私はクラスメイトには馴染めずに、休み時間は本を読んで過ごすことが多くなりました。
神山高校の休み時間は賑やかで、5人ほどのグループになって楽しそうに談笑しているクラスメイトがほとんどです。
その傍らで休み時間に勉強をするというのもいいのですが、下手に参考書を開いていては皆からのイメージが悪くなるでしょう。
優等生ぶったり、真面目な様子を人に見せるのも嫌味な感じがするので、嫌われてしまう要素になり得るということも過去に学びました。
この生活も、前に通っていた学校と何ら変わりありません。
そりゃあ、私だって皆と話したいのだけれど……
──本当は、貴女のことなんて皆嫌ってるよ──
私は有名な資産家の一人娘ということもあり、私は裕福な生活をする代わりに、制約の多い人生を送っています。
過保護で過干渉なお父様からは、女子校であり進学校の宮益坂女子学園を勧められましたが、猛反対をされた末に、振り切って神山高校に転校しました。
女子校は前にいた国でも通っていたし、目新しさを感じませんでしたもの。
それに、家という監獄から逃れられる学校生活という間だけでも、自由に過ごしていたいという思いもありました。
普通の女子高生のように、友達や彼氏を作って、学校帰りに寄り道して、バイトして、休日は門限ギリギリまで遊んで。
そんな生活を夢見て、生まれてはじめて、反対するお父様を無理に言いくるめて神山高校に訪れたというのに……
「結局、自身が変わらないと意味がないことですのに……ね。」
あ、いけない。
誰にも聞かれてはいなかったかと心配になり、私はキョロキョロと辺りを見回しました。
幸い、私の声は喧騒にかき消されて誰にも聞こえていなかったようです。
こういう言葉遣いも、お高くとまってるとか言われて嫌われるんですの、よね……
始業のベルが鳴り、会話したことに満足していそいそと席に着くクラスメイトに紛れて、私は1人ブルーな気持ちになりました。
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作者名:こっとんきゃんでぃ | 作成日時:2022年3月6日 13時