【名探偵コナン】きすこれっ！-Kiss Collection-

◇腕と首なら欲望のキス ページ10

俺が組織に来た時、既にこいつはここに居た。


他の誰より呑まれていてもおかしくないはずなのに、まるで黒に染まらないそれ。
初めに覚えたのは、僅かな興味と苛立ち。



最も、現在の怒りの矛先は、こいつに庇われた俺自身にだがーー




『っ、もう少し優しく出来ない？』
「...手当てして貰えるだけ感謝しろ」
『...はいはい』



敵対するとある組織の狙撃手(スナイパー)から放たれた弾丸は、元々は俺を狙ったのだろうが、横から飛びついてきたこいつーーアスティの右腕を掠った。


反撃に応じ、その場はすぐに片がついたのだが。


帰還後、利き腕だから誰かに手当てしてもらった方がいいとベルモットが言うだけ言って姿を消し、ウオッカは後処理、キャンティやコルンもそそくさと居なくなり、その結果役目が回ってきたという訳で。



「...ほら、出来たぞ」
『...Thank you.』



パタン、と救急箱を閉じ、ふとその表情を伺えば、視線は明後日の方向。


ああ、気に入らねぇな。
こんなに近いのに、絶対にこちらを振り向かないそれ。



気がつけば、その腕を掴み引き寄せていた。



『！？、なに、を...』
「・・・・・・」



ちゅ、と包帯の上にキスを落とせば、これでもかというくらい目が見開かれる。



ああ、そんな顔もするのか。
それなら、このまま腕に閉じ込めて、行き場の無い程快楽を与えたら、どんな表情(カオ)が見れるだろう。





『、っ、ジン、』
「...少し黙れ」



次いで、首筋にキスを。
こんな時に名を呼ぶなんて、案外バカな女だ。









全てぶつけてしまえば、楽になれるかもしれないのに。




それが出来ないのは、思った以上にこいつが...＿＿だからだろうか。








腕と首なら、欲望のキスーーFin.

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