【名探偵コナン】死役所勤めのわたくしですが、【萩原研二】

六七日（むなのか） ページ20

『星が綺麗だねぇ⋯⋯』
「⋯⋯そうだね」




みっともなく泣き腫らしたあの夜から更に1週間。此岸と彼岸の境界にあるはずのココにも星空というものは存在するらしい。


毎日見られる訳ではないけれど、娯楽も何もないこの空間で、どちらかと言えば職員のためにあるらしいテラスや中庭、その内のひとつにロマンティックな夜空もあるんだとか。






星を見ながら話そうか、なんてまるでデートのお誘いかのように手を引かれて、けれどそこに月は存在してなくて少し残念。文豪クラスタじゃないけども。



一世一代の告白のはずが、図星つかれて胸借りて泣いて終わるなんて、というか好きの2文字さえ伝えられてなくて、あれ俺こんなんだったっけ？と言うのが正直なところ。どーしたらいいんだ、ほんと。つまり、伝えられてないのだから、当然答えも貰えてない訳で。






「⋯⋯あのさ、」
『⋯⋯なあに？』
「⋯⋯手を繋いで成仏したら、来世でも出逢えるとか、そういうの無い？」



裏庭で服が汚れる事も気にせず寝転がった俺たちは、視線を上空に向けたまま会話する。表情見るの、少し怖いし…って、ほんっといつからこんな情けねぇ男になったんだ、って感じだけどさ、もう！



『⋯⋯どうだろう？近すぎて双子で生まれ変わったりするかもよ？』
「えっ、それはそれで困る、かも⋯⋯」
『どうして？生まれた時から一緒にいられるのに？』



だって俺の"好き"はそーいう家族愛じゃなくて男女の仲になりたいって意味だし！反論しようと思わず首を傾ければ、同じくこちらを向いていた彼女とバチりと視線が合わさる。



口角を上げて、悪戯でも仕掛けているようなその表情は心臓に悪くて、だってそんな顔、初めて見るんだから。

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