【名探偵コナン】萩原姉の親友は松田陣平がお好き

爆弾脅迫事件の裏側で４ ページ12

ふらり、とよろけたわたしを後ろから支えた松田くんは、そのままわたしの首筋に顔を埋めた。



とくん、とくん、とさっきまで早かった鼓動が、正常値に戻っていくのが背中越しに伝わる。



「･･･サンキューな」
『･･･ううん･･･2人とも生きてて、よかった』



絞り出すように言った彼の声が震えている事には気づかないフリをして、回された腕にそっと手を添える。



周囲はまだ、指示の声が飛んだり、追加で到着した救急車のサイレンの音で溢れかえっていて騒がしいのに、彼の声はすとんと頭に入ってくる。






『･･･今更だけど、松田くんは何処も怪我してない？』
「･･･おう、何ともねぇ･･･けど、」



珍しく歯切れの悪い返事をする彼に、至近距離に居ることも忘れてつい視線を向ければ、ぱちりとかち合うそれ。




「･･････昔みたいに名前で呼べよ」
『え？』
「･･･そしたら、ぜってぇ殉職し(しな)ねぇって誓ってやるから」




ようやく平常を取り戻したのに、またぎゅ、と心臓が締め付けられた。そうだね、さっき、気が動転してて咄嗟に呼んだみたい。





何年見てきたと思ってるの？
何年あなたの事が好きだと思ってる？



察してしまったんだ。この事件、まだ犯人のうちの1人を確保したって報告がない。



2人組のうち1名は、先程警察に逆探知された公衆電話から遠ざかろうとして、トラックに跳ねられて即死したって無線が入ってた。



何だ、思ったよりわたし、冷静かも。ちゃんと聞いてるじゃん。





彼は、犯人を許してない。絶対逃がすかって、そう目が言ってる。



そしてきっと犯人も、警察を許さない。どっちが道理を外れてるかは一目瞭然だけど、これで仲間を殺されたって逆恨みしないなら、最初からこんな馬鹿げた事件起こしてないと思うから。






『･･･陣平くんって呼ぶから･･･だから、』
「･･･約束は守る」



犯人逮捕する気なんだろうな。そしたら爆処からは異動する気か。それはそれで勝手ながら少しだけ望んでいた事だからいいのかもしれないけど、特殊犯係と強行犯係、どっちが安全なんだろう。








研二くんを乗せた救急車がサイレンを鳴らしながら遠ざかっていくのを、ぼんやりと見ていた。



後で、お見舞い行かなきゃ。その前に勝手に持ち場を離れたこと、怒られるかなぁ。













その翌年の11月7日。警視庁に"3"と書かれたFAXが送られてきた頃は、まだ2人とも機動隊に所属していたのにね。

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