爆弾脅迫事件の裏側で3 ページ11
『いちめい、じゅうしょう・・・』
「っ、A?」
『重体じゃ、ないって事・・・?』
フラフラと止めていた足を動かしたわたしに気づいた松田くんが駆け寄ってくる。
『・・・陣平くん・・・!研二くん、生きてる?防護服着てた?』
「あ?あぁ・・・多分、お前のおかげで・・・」
『え?』
その時マンションの入り口あたりが騒がしくなってきて、中から数名の隊員が出てくる。
後方に、肩を支えられながらも何とか立っている研二くんを発見したのに、途端に視界が悪くなって、でも気づいたらまた、駆け出していた。
「・・・!Aちゃ、」
横にいた隊員が慌てるのもお構い無しに、そのまま研二くんの首に手を回す形で抱きつく。所々、隊服の金属部分がまだ熱くて、ちょっと火傷したかもだけどそんなのどうでもいい。
というよりどう見ても研二くんの方が重症だから、そのままどすんと尻もちをつかせてしまったけれど。
『研二くん、生きてる・・・』
「うん・・・心配させちゃった?」
『・・・あたりまえだよぉ・・・』
危険な部署だって知ってた。でも、彼らが望んで決めた道なら応援しようって、反対する権利もないし、辞めてなんて言ったこと無かったけど。
「・・・ちゃんと着てたよ、防護服」
『う"ん・・・』
「・・・かわいい可愛い幼馴染がさ、"防護服着ないで解体したら、研二くんと縁切る!"なんて言うから」
『・・・うそ』
5分くらいしか着てられないから、マンションの住人の避難完了報告が来るのを見計らって着てたらしい。今は流石に脱いでるけど。
ぎゅ、と抱き寄せられてごめんなぁ、泣かせて、なんて言うから、静かに泣いてたはずなのにとうとう嗚咽が漏れた。
「・・・飲みの席でだけどな。俺が言っても聞かねぇから」
「ごめんて松田・・・」
「・・・言っとくがのんびりやってた事に対してはまだ怒ってるからな、後で覚悟しとけ」
言ってる事は物騒なのに、その顔は泣くのを堪えているようなもので。
ホラ、お前も立て、とわたしへと伸ばされた松田くんの手を取って立ち上がれば、駆けつけてきていた救急隊員が研二くん達の容態確認を始める。
防護服のお陰で無事だったものの、何処かしら骨折しているであろう事と、火傷もあるだろうとなり、そのまま搬送準備が進められて。
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ユナ(プロフ) - あかさん» わわ、そこに注目して頂けて嬉しいです・・・!この後の人生は普通に観覧車にデートで乗って欲しい2人です・・・!嬉しいお言葉ありがとうございます!また読んで頂けたら嬉しいです♩♬♡コメントありがとうございました!! (2022年6月26日 20時) (レス) id: fe944991a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 桜蝶さん» こちらこそお付き合い頂きありがとうございます・・・!!コメント頂けて嬉しいです( *´꒳`*)少しでも癒しになったのなら嬉しいです!!ありがとうございました・・・! (2022年6月26日 20時) (レス) id: fe944991a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 侑さん» この度もコメントありがとうございます・・・!呼んで頂けて嬉しいです!きゅんきゅんして貰えたとの事で歓喜でございます・・・(´˘`*)!また読み直しに来て頂けると私も嬉しいです!嬉しいお言葉ありがとうございました!! (2022年6月26日 20時) (レス) id: fe944991a4 (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - 亡くなってしまったゴンドラの下で、将来を誓い合うのが、対比を表していてとても感動しました(T_T)本当に大好きな作品です、何回も読み直します!!ありがとうございます! (2022年6月26日 17時) (レス) id: f65de5f831 (このIDを非表示/違反報告)
桜蝶(プロフ) - 完結おめでとうございます♪色々な映画版もやって欲しいぐらい萌えました( *´꒳`*)読み終わった後の幸せ溜め息をついちゃうぐらい凄い良かったです! (2022年6月26日 16時) (レス) @page49 id: 289e4af202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2022年5月30日 20時