【ヒロアカ】短編集【敵連合＋α】 (ページ9)

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③ ページ9

「･･･私のこと、馬鹿だと思っていたでしょう。割と頭の回転はしっかりしてるんですよ」
「･･･うん、今のでよく分かったよ」

危なかった、という表情を隠しもせずため息を吐いた彼に、彼女は笑ってこう続ける。

「私の信用を得たいのなら、手っ取り早い方法が1つありますよ」
「･･･どんな？」
「今ここで、私の個性にかかって安眠してみてください。きちんと要望通りの夢を見せてあげますから」
「･･･そう来るか」

さて、どう出るか。

じっと見つめれば、案外早く、分かったというように手を上げる彼の姿が。

答えはYESだと判断し、その手を取引く。普段仮眠を取るために使用されている大きめのソファベッドに腰掛け、ぽすん、と音を立てて膝の上に転がった頭を撫でた。

彼の背には羽があるので、横向きに寝てもらう事になるが目線は合わせられなくもない。

「どんな夢がいいですか？」
「その前にひとついい？」
「･･･何です？」

固いと思っていた髪が案外柔らかくてするすると解くように撫でていた手を掴まれ、動きを止められる。

「君は、後悔してるの？君の生き方を」
「･･･死に際に"ヒーローには絶対助けを求めない"と断言出来る程度には･･･後悔してませんよ」
「･･･そう、ならいいよ」

そう言って手を離した彼に、疑ったり気にかけたりしてヒーローという生き物はやはり生きにくそうだな、と思った彼女は再度質問を繰り返した。

「で、どんな夢にしましょうか？」
「あぁそうだったね･･･うーん」
「･･････」
「･･･誰もが生きやすくなった新しい世界で、君と笑い合う夢が見たいな」
「･･･悪趣味ですねぇ･･･1時間コースでいいですか？」

恐らく来ないであろう未来を夢でみる。他人の個性で。しかも、本心ではないだろう内容ときた。

「いいよ、よろしく」
「･･･では、」

どうぞ行ってらっしゃい、ヨイユメヲ。

そう言って笑った彼女を見つめながら、ホークスはゆっくりと瞼を閉じた。