【ヒロアカ】短編集【敵連合＋α】 (ページ4)

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「凄いね、強いねぇ、流石ステインが認めた少年！トガちゃんが惚れるのも無理ないわ」
「っ、敵連合･･･！？」

買い物袋をどさりと地面に置いて構えた彼に、慌てて両手を上げ降参ポーズをする彼女だったが、目が少しも怯んでおらず警戒態勢を解けない。

「待って待って、今日は君と話がしたくて声掛けただけなの。親友の想い人に手なんてかけないよぉ」
「･･･信じられないよ」
「それは私が敵だから？君はそういうので人を計らないと思ったのに」
「･･･、先に個性を仕掛けてきたのは君じゃないか」
「うーん･･･まぁそれもそうだね」

なら私が悪かったね、とさらりと言った彼女に、緑谷の瞳が見開かれた。

何だ？この違和感は何だろう、彼女は何を、何処を見ているーー？そう思うも、視線を逸らせば何をされるか分からない気がして、微笑む彼女を見据える。

「少しだけど話せたから、私帰るね」
「っ、待て！」
「通報してもいいけど、出来ないと思う」
「何を、」
「"3分間、幸せな夢を見ていて"」

その声を聞いた瞬間、ぐらりと身体が傾く。地面に落ちる前に見えたのは、こちらへと手を伸ばす彼女の白く細いーー

「･･･弔くんには、もういいよって言われてたし存在くらいなら認知されてもいいよねぇ」

念の為にヘアアレンジして、いつもと系統の違う服着てきたし、と心の中で呟いた彼女は、掴んでいた緑谷の腕を離した。

歩道の端に寄せて座らせたから、通行人の邪魔にならないだろうと何処かズレた思考を終わらせると、来た道と逆方向に歩み出す。

人気の少ない時間帯らしかったので大事にはならないだろう。

良い暇つぶしだったなぁと伸びをして、彼女は満足気に微笑んだ。