【ヒロアカ】短編集【敵連合＋α】 (ページ3)

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初めまして、ヨイユメヲ①(緑) ページ3

(暇だなぁ･･･)

特に任務を言い渡されていない日、けれど自分以外は何やら予定が入っているらしいとある日。

趣味も大した金も持っていない彼女はふらふらと街中を歩く。

証拠を残さず人を葬れる彼女を死柄木は今まで表に出したことがなく、雄英の林間合宿を襲う開闢行動隊にも属さなかったその顔は未だ割れていないので、白昼堂々と出歩いても通報される心配は無い。

(あら･･･あらあらあら！)

気づけば雄英の近くまで来ていたようで、買い出しだろうか、ドラッグストアから出てきた見覚えのある癖毛の少年を視界に捕らえた彼女は、ぱっと顔を輝かせた。

「こんにちは」
「へっ？こ、こんにちは･･･？」

ふふ、と笑いながら顔を覗きこまれた少年ーー緑谷出久は恐らく初見であろう女性に目を瞬かせる。

何処かで会ったことはーー無いだろうな、と思い直して、少し後ずさりした。それは何かを察知した訳ではなく、単純に女性慣れしていないという理由からだったが。

「緑谷くんでしょう？体育祭見たから知ってるの。強いねぇ」
「あっ、ありがとうございます･･･？」

お買い物？と続けて尋ねてくる彼女に少しだけ警戒心を解いた緑谷は頷き応える。

そのまま前を歩き出すので困ったな、と思うも何と言えば良いのか分からず、と言うか自分の進路も同じ方向なので少し速度を落とし歩み始めた。

「緑谷くんは、どうしてヒーローになろうと思ったの？」
「えっ？えっと･･･その、」
「あぁ、オールマイトのファンだったんだねぇ」
「！？」

答える前にくるりと振り向いた彼女が、コツンと彼の額に自身のそれをくっつけた。と同時に彼女の瞳が赤く光るのを見て、咄嗟に距離をとる。

「なるほどねぇ、個性に恵まれなかったんだねぇ、けど頑張ったんだね！だからチャンスを掴めたのかぁ！」
「っ、君、は･･･」
「私ね、個性はまだ内緒だけど･･･人のトラウマとか嫌な思い出とかを見ることが出来るの」

凄いでしょ？と言わんばかりに両手を広げた彼女に、思わず一瞬、パチリと緑谷から個性が溢れた。