【名探偵コナン】君と恋を探す(短編集)【警察学校組】 (ページ3)

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③ ページ3

萩原研二は、女癖が悪い。

警察学校という短い付き合いの中で、割と初期に気がつくくらいには。

顔とノリだけは良いから、寄ってくる女は後を絶たない。

けれど毎度毎度、数ヶ月と持たずに別れては、次と付き合い、その繰り返し。

一度だけ、酒の席で聞いたことがある。そんなに取っかえ引っ変えで、疲れないのか、と。

「ん～...いや、俺も最初は真面目に付き合ってみるんだよ？」
「...最初は？」
「ははっ、怖ぇ顔すんなよ...ずっとさ、忘れられない人がいて」

その一言に、ヒロや伊達だけでなく松田まで驚いた顔をしたのは、記憶に新しい。

「でもさよならって言われちまってさ...風の噂で警察官になったって聞いたから、俺も追いかけてきてみたんだよね」
「...え、それお前、ガチなやつじゃん」
「陣平ちゃんもそう思う～？俺正直好きとか愛とかそういう感情に自信ないんだけど、彼女の事だけは...忘れられなくて」

警視庁入ったら会えるかなぁ、と呟いた彼は、はたから見たら、ただただ普通に恋する一人の男だった。

そして珍しく酔いつぶれた彼は、直前に確かに、Aさん、と呟いたんだ。

『初めまして、降谷零くん。私の名前は白石Aです。女の私が教育係じゃ不満だろうけど、よろしくね』
「......え、」
『？どうかした？』
「あっ、いえ...よろしくお願いします」

そう言って差し出された手を取り握手した。

警視庁の何処にも彼女が居ない、そう嘆いていた彼の想い人が、もしかしたら目の前に居る？

そう思ったものの、確証も持てず、また守秘義務もあって、俺は頭を悩ませる羽目になったんだ。