【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ２【諸伏景光】

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『はい、どうぞ』
「サンキュ」


あれから簡単に家の中を確認したAは買い出しに行ってくれて、夕食を終え、今はコーヒータイム。


何でも、大学に上がった時からこの辺で一人暮らしをしていたそうだが、組織潜入の際に引き払ったらしい。理由はまぁ、分かる。素性を知られる訳にも行かないし、いつ終わるか分からない、最悪殉職の可能性だってあるから、住まない家賃を払い続ける訳にもいかないだろう。


だから、ここはホテルに身を潜めていた間に、FBIの同僚達が押さえてくれた部屋との事で。冷蔵庫や洗濯機、ベッドといった必要最低限の家具家電付きで、すぐに生活出来るようになっていた。


赤井からオレがノックだと組織にバレたと告げられた時点で、暫く俺の事をサポートしてくれるつもりでいたらしい。間取りは2LDKで、リビングダイニング、寝室と、空き部屋が1つ。


空き部屋の用途を尋ねた際に、"もし恋人同士になれなかった時、貴方の寝室にしようと思ってた...勝手に用意して迷惑だった？"なんて上目遣いでおずおずと聞いてくるAが可愛すぎて、オレ、そのうちしぬんじゃないかなんて思う。死因はあれだ、キュン死に。


『今日は養父(とう)さんがごめんなさい。勧誘目的だと知ってたら連れていかなかったのに...』
「いや、大丈夫...というか、あんな風にオレの事評価してくれてるの知れて、良かったよ」
『え？』


彼女には、言ってなかったけど。声をかけて貰えるより前に、自分自身でもその選択を考えていた事は。


「...単純かもしれないけど、オレは...出来たらAの傍に居たい」
『......』
「だから、元々FBI捜査官になれないかなって、考えてた」
『！』


そりゃ、なるまでにも時間も費用もかかるし、無事入れたとしても、その時彼女は今より昇進しているだろうから、守ってやる、なんて胸張って言えないかもしれないけれど。


『...貴方が決めた事なら、何も言わないけど...でも、』
「大丈夫、もうオレにはいるから...絶対にこの世に置いていけない人、がさ」
『！...それ、約束してよね、』


ソファの隣へと腰を下ろしたAの頭が、ことりと肩へ乗ってきて。どうやら了解を得られたらしい。


何となく、察してた。つい最近俺がしようとした事を、また、されるのが怖かったのかなって。だから、FBIの件を反対したんじゃないかなって。


今までは逆に、大事な人を作らないようにしてきたけれど、出逢ってしまったら、仕方ないよな。

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