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「...でもやっぱり、」
『前は納得してくれたじゃない。それとも一緒に寝る?』
「っ!?...あんまり揶揄うと怒るぞ」
それが、かつて彼女のアパートに泊めて貰った際にベッドを借りたことを指しているのは分かったけれど、あの時はAがソファで寝落ちしたからであって、今とはまた状況が違う。
けれど、少しムッとしたように告げた彼の頬は赤くて、Aは少し笑ってから冗談よ、と返した。
『そう言えば、ヒロミツってどういう字を書くの?』
「あぁ、えっと、」
すとん、と隣に座ってきたAの近さに一瞬跳ねそうになった肩に力を込めて、テーブルの隅にあったペンとメモを取る。
彼女の名前は先程FBIの手帳を見せて貰った際に漢字も把握していたけれど、自分の手元には警察手帳おろか免許証すら無くて。その辺も降谷が処理してくれると言っていたから、心配はしていないのだが。
『景色の"景"に、ひかりの"光"...』
「そ、これでひろみつ」
後で念の為破り捨てよう、と書いたメモを見せる。即答で何らかのリアクションが来るかと思えば数秒の間があって、不思議に思った彼は彼女の顔を覗き込んだ。
『...綺麗な名前ね。明るくて、心の広い...包容力がある優しい人...そんなとこかしら』
「!」
『貴方にぴったり。素敵...っわ!?』
少し目を伏せて、走り書きした決して丁寧ではないそんな文字を、まるで愛するものを見るような瞳で見つめる彼女の頬には赤みが指していて。
そんな顔されたら、色々な事を考える前に、手が勝手に動いていた。ぎゅ、と抱きしめた彼女は想像より華奢で、あぁ、この身体を精一杯使って、自分を助けてくれたのだ、そう、思ったらーーもう止められなかった。
『...
「...好きだ、」
『っ!?』
「言うタイミングとか、間違ったかもしれないけど...Aの事好きなんだ。多分、結構前から」
肩口に顔を埋めているせいで、どうしようもなく情けない事になっているだろう顔を見られることは無いけれど、彼女の顔を見ることも出来ない。
彼女は、どう想っているのだろう。心臓が煩い。その加速が止まらなくて、ぴたりとくっついているのに彼女の心音が分からない。
返事を、早く聞きたいような、怖いようなーー
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宮野幸恵(プロフ) - 皮肉れるではなく、捻くれるじゃないんですか? (2022年6月21日 21時) (レス) @page11 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» トレンド入りしてたんですね、、!私偶然久しぶりにアニコナ見たら...ってなりました(´・ω・`;)あれはもう制作側の愛しか感じませんね、、一瞬映る志保の線画?とか美しすぎて、、また気になる作品があったらお付き合いください!ありがとうございました! (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» そうですね(´TωT`)生きてりゃ何でも出来るんで組織壊滅後とかにお茶して欲しいです。。私もこんな風に感想とかリクとか有難いお言葉を頂けて、なーこ様に読んで頂けて良かったなぁと思います!(´TωT`) (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» なーこ様!返信遅くなっちゃってごめんなさい!!コメありがとうございます!こんなんで大丈夫かなぁ〜と思ってたので良かったです!!志保ちゃんは結構乙女だと思ってます、、 (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - (私もアニメED見る度哀ちゃんの思いがストレートに胸に刺さって泣きそうに(笑)初めはTwitterのトレンドでEDのネタバレくらって落ち込んでたんですけどそれも蹴り飛ばす勢いの、今までで一二を争うEDだと個人的に思ってます*。) (2019年11月17日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年10月28日 0時