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『...さぁ、この部屋よ、どうぞ入って』
「あ、あぁ...」
ドアの位置まで戻った彼女は、彼の手を引きリビングへと誘導する。
する、と組まれた腕から布越しにじわりと体温が伝わってきて、彼は気づかれないように唾を飲み込んだ。
『...結構酔ってるわね、大丈夫?』
「...なんとか、(あ、そうか、そこそこ酔わせてせておけばいいのか)」
ハニトラのイロハなんて誰が教えてくれる訳でもなかったから、なるほど、と頭に流れを叩き込みながら、慣れない演技を続ける。
『...もう休みましょうか?ほら、ここのベッド結構大きいから、』
「っ、」
カチャリ、と寝室のドアを開ければ、部屋の殆どを占めるキングサイズのベッドが1つ。
『...どうしたの?やっぱり気分が悪いのかしら?』
「あ、いや...」
『...それとも、何か期待してる?』
「っ、わ、」
ベッドへと腰をかけされられたかと思えば、太ももの上に跨るようにして彼女の体重が掛けられる。
ぎしり、と音が鳴った。
『...いいわよ?貴方が望むなら...』
「っ、キャロル、」
耳元で囁かれるそれに耐えられなくなって、思わず名を呼ぶ。
『...その前に、貴方が私の質問に答えてくれたら、ね?』
「へ?」
ガチャり、といつの間にか両の手にかけられていたのは、手錠。
そういえば両手をさりげなく纏められたような気はしたけれど、他に意識が行ってしまってあっという間の出来事だった。
『...という感じで、あとは吐かせるまで薬使うなり道具使うなりして、最後にアレを飲ませて終わり、ってところかしら?私なら』
「......」
『下手に後ろ手で拘束するより、前でした方がいいと思うわ。万が一手錠抜けなんてされたら面倒だし』
「...あぁ、うん」
『...ちょっと、大丈夫?』
「...多分?」
カチャ、と持っていた鍵で解錠した彼女は、そのままの姿勢で彼を覗き込んだ。
距離が、近い。
身体を流れる血液が、熱い。気がする。
要領は、分かったような気もするが果たして自分に出来るのだろうか、と不安になるのは無理も無いだろう。
サラリと言ったが、彼女は先程なんと言った?
薬?道具?あぁもう、お前らはいつもこんなんやってのけてるのか!と、ここには居ないバーボンにまで詰め寄りたい気分だ。
『...まぁ、もうやるしかないわよ』
「そうだな...うん、サンキュ、」
すとん、と彼から降りた彼女は、なおも頭を抱えるスコッチを横目に何やら考えていたが、何かに気づくとその眉を少し歪める。
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宮野幸恵(プロフ) - 皮肉れるではなく、捻くれるじゃないんですか? (2022年6月21日 21時) (レス) @page11 id: 09433d1ffe (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» トレンド入りしてたんですね、、!私偶然久しぶりにアニコナ見たら...ってなりました(´・ω・`;)あれはもう制作側の愛しか感じませんね、、一瞬映る志保の線画?とか美しすぎて、、また気になる作品があったらお付き合いください!ありがとうございました! (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» そうですね(´TωT`)生きてりゃ何でも出来るんで組織壊滅後とかにお茶して欲しいです。。私もこんな風に感想とかリクとか有難いお言葉を頂けて、なーこ様に読んで頂けて良かったなぁと思います!(´TωT`) (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - なーこさん» なーこ様!返信遅くなっちゃってごめんなさい!!コメありがとうございます!こんなんで大丈夫かなぁ〜と思ってたので良かったです!!志保ちゃんは結構乙女だと思ってます、、 (2019年11月20日 21時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
なーこ(プロフ) - (私もアニメED見る度哀ちゃんの思いがストレートに胸に刺さって泣きそうに(笑)初めはTwitterのトレンドでEDのネタバレくらって落ち込んでたんですけどそれも蹴り飛ばす勢いの、今までで一二を争うEDだと個人的に思ってます*。) (2019年11月17日 23時) (レス) id: e08e419bfb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年10月28日 0時