【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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『...え？スーツの見立て？』
〈あぁ、ちょっと急ぎでさ。時間があったらでいいんだけど、〉


先日の任務時、今後の為にと連絡先を交換して数週間。
"組織用"と使い分けたスマホが着信を告げ、珍しいなと思えばどうやら彼は困っているらしい。



何でも、普段スナイパーとして闇に紛れる役割のはずが、どうしても適任が捕まらずパーティーへの潜入役になってしまったのだとか。
しかも、パートナーはあのベルモット。成程、それは確かに焦るのも分かる。あのセレブの隣に並ぶのに彼の容姿には何ら問題無いだろうが、ある程度の身なりは必要不可欠だろう。


今日は任務も無いしと二つ返事でＯＫすれば、意外だったのか少し驚いたような声が返ってきたけれど。





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「助かったよ、スーツとか普段着ないし、こっちの店とか分からねぇしさ」
『そういえば、よく私が今アメリカに居るって知ってたわね』


あまり何軒も回るのもどうかと思い、予めいくつか検索しておいたブランドショップを目指しながら、ふと疑問を口にする。


どちらかと言えば日本人であるスコッチがこっちにいる方が珍しい気がするが、私だってずっと留まっている訳ではないから、タイミングが良かった、だけで片付けるには少し引っかかったのだ。


「数日前まで任務でワシントンに居たって聞いてさ。キャロル前にニューヨークにアパート借りてるって言ってたし、なら俺の任務地と被ったからイケるかなーって」
『...ワシントンの件って、ごく数名しか知らないはずなんだけど？』


思わずジト目で見上げればしまった、というような顔をしたこの人に、潜入役を任せたのは誰だ、と思うのは致し方ないと思う。
どうせベルモットがフォローするんだろうけど。


「あーっとな...バーボンって知ってるか？俺、入った時期近いから結構仲良くてさ。ソイツに聞いたんだ」
『...名前を聞いた事はあるわ。情報収集のスペシャリストって』
「そうそう、人当たり良くてさ、頭も切れるし。キャロルみたいに綺麗な金髪だから目立つんだけど」
『...日本人？』


この街で金髪はさして珍しくない。それなのに目立つ、と言い切ったのは、"日本では"という意味だろうかと尋ねればそうだぜ！と返ってきて、やはりこの素直すぎる男に潜入は向かなそうだなと心の中でため息を吐いた。

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