【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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Aを解放した赤井は、組織には無事報告が完了し、現場の処理も組織の掃除班に任せてきた事を告げた。


これで、スコッチとキャロルはこの世から完全に消え失せた事になる。だが、2人にはこれからの身の振り方において決定的な違いがあった。


キャロルの場合、組織にはノックだと知られぬまま死亡した事になっているし、簡単に見た目を変えるくらいで済むだろう。


万が一今後FBIだとバレたとしても、彼女の家族構成までは簡単には特定されないだろうから、周りへの被害が最小限で済む。何故なら、養父達とは別の性ーー日本名が本名となっているから。


ちなみにこのリスク軽減の策は、赤井も同じであった。彼にも母・弟・妹がいるけれど、弟妹とは名字が違う。


けれど、スコッチの場合、組織にノックだと知られ殺された事になっている。そして、両親は既に他界しているが、彼の兄は日本警察官。このまま狭い日本へと戻ったところで、生きている事がバレたら。


兄だけではなく、友人達の事ーー可能性として、バーボンがノックだという事に辿り着かれてしまったりーーを考えれば、それは絶対に避けなければならない。
勿論、彼を処分したはずのライや、共に死亡したはずのキャロルの件も、組織は洗い直すだろう。


だが、本名は知られていない。顔と、職だけだ。それならば、日本の戸籍は残したまま、証人保護プログラムを受けるかーーあるいは、名を捨てずに帰化、つまりグリーンカードを入手し、アメリカで生きていくか。




その辺は諸伏本人が決めるとして、ひとまず日本の公安警察には降谷から、諸伏景光は任務中殉職した、と報告して貰う事になった。上官にだけ真実を話すか、死亡届は出す振りをして破棄し戸籍を残しておくかは降谷が上手くやるだろう。


そうと決まれば長居は無用、と赤井と降谷はホテルの部屋を後にした。


今生の別れではないから、と降谷は諸伏と拳を合わせると、振り向かずに。




3日後、Aが諸伏をFBI本部へと連れていくまでは、念の為このホテルに身を潜める事になる。食事はルームサービスで事足りるし、元々保護目的で抑えられた部屋だったから、簡単な部屋着なども用意されていて、それはとても有難かったのだが。

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