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さよならのメールは、
もし立場が逆だったなら、きっとお前から連絡なんて来ないだろうけど。
小さい頃から一緒だったお前に、何一つ言わぬまま居なくなるなんて事、オレには出来なかったんだ。
けれど、キャロルには送らなかった。否、送れなかった。
さようなら、好きだったぜ、なんて一方的な言葉、残して何になるって言うんだ?
それこそ独り善がりじゃねぇか。
なんて、本当は途中まで打って、消したんだ。
だってさ、笑っちまうだろ?
愛を囁くには、きっと、色々なものが足りなかったんだってこのタイミングで気付くなんて。
ーーオレは、君の本当の名前すら知らなかったんだよな。
.
「流石だな、スコッチ...」
「っ、」
「俺に投げ飛ばされるフリをして、俺の拳銃を抜き取るとは」
予想より手こずった現状に、赤井は焦りを表情に出さぬまま言葉を続ける。
彼のことを見くびっていた訳では無いが、一発で無力化出来なかった自分に舌打ちをしたい気分だ。
「命乞いをする訳ではないが、俺を撃つ前に話を聞いてみる気はないか?」
「け、拳銃は...お前を撃つために抜いたんじゃない、」
その一言で読めた赤井は一瞬にして間合いを詰める。
彼女との約束を、破る訳にはいかない。
「こうする...為だ!!っ!?」
「無理だ、」
自身の胸へと銃口を向けた彼の手を、取るために。
「リボルバーのシリンダを掴まれたら...人間の力で
決してその手に込めた力を緩める事をせず、このまま説得に入る事にした。
「ジサツは諦めろスコッチ...お前はここで死ぬべき男ではない」
「何!?」
自身を殺すために来た組織のライ。
そのはずなのに、目の前の男は何を言っているのだ、とスコッチの表情が戸惑いへと変わる。
「俺はFBIから潜入している赤井秀一...お前と同じ、奴らに噛み付こうとしている犬だ」
「っ、そんな、」
「信じられないならもう1つ教えてやる。下で待機しているキャロル...彼女も俺の仲間だ」
「...何だって?」
疑心から、少しずつ動いている心を読み取り、もう少しだ、と心の中で確信して。
「さぁ、分かったら拳銃を離して俺の話を聞け...お前一人逃がすくらい、造作もないのだから」
「あ、あぁ、」
そう言えば、彼の緊張感が緩んでいく。
ーーー任務成功はもうそこまで、来ていたと言うのに。
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えぬ(プロフ) - ユナさん» 初めまして!いつも楽しく見させていただいてます!あの、新しい小説のリクエストってしてもよろしいでしょうか? (2022年6月1日 22時) (レス) id: 619e2b7b7b (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» 見返し!!ありがとうございます(´TωT`)間が空くと分からなくなりますよね、すいません(´TωT`)コメント凄く励みになって嬉しいです!ありがとうございますm(_ _)m (2019年10月28日 1時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 久しぶりに見返しました!とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 64e9274118 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - ムスメ3さん» コメントありがとうございます!間空いてしまってすみません!イチャついてから完結させますのでまたお付き合い頂けると幸いです! (2019年10月27日 9時) (レス) id: 5a59395d41 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - どうなっちゃうのか楽しみすぎます!頑張ってください! (2019年8月24日 22時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユナ | 作成日時:2019年7月29日 11時