【名探偵コナン】僕があいした、ただひとりの君へ【スコッチ】

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『(日本って、落し物を届ける際に身分証明書必要だっけ？)』



以前友人と旅行に来た際、明らかに"外国人"と捉えられるその容姿が少し面倒だった。幼少期は二か国語を話していたし、国籍をアメリカに移した後も使っていたから日本語に不自由は無い。なのに、観光客として色々と声をかけられるのに鬱陶しさを感じていたから、一人旅の今回はホテルにチェックインした後、黒髪のウィッグとブラウンのカラーコンタクトを装着していた。



そうすると、パスポートの素顔とは異なってしまった今、交番で無駄に時間を取られるのも嫌だし、変に警戒されても困る。
やはりこの財布ごと見なかった事にしようかと思ったが、こういう時働くカンは、あながち間違ってはいなくてーーー





『...ベタな人』



職業柄、素手ではなくハンカチを使って拾い上げた折りたたみ財布を開き、トップスの裾を使い同じく自分の指紋を残さぬようにカード入れの奥を覗けば、そこにはビニールに包まれた白い何かがチラリと見えて。



『...いざとなったら保険証でなんとかするかな、』



もし彼が隣に居たら、甘いな、と呆れるのかな、そう思いながら、来た道を引き返した。

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