【名探偵コナン】Pellucid Strawberry 2【安室・赤井】

62.Mansion of twilight 10 ページ14

「やれやれ...たったそれだけの物の為に父が命を落としたとは...」



現実とはこんな物か、そう溜息を吐く彼女に、彼は約束を守れと迫る。



「この館からの脱出方法を教えてくれ！」
「そんな物、最初からありはしないよ...私はここで果てるつもりだったのだから」


大上は、食事の後にこっそり教えるという自身の言葉を信じていたようだけれど、そう続ける彼女の言葉を遮ったのは。



「フン、だろーと思ったぜ...千間のバアさんよォ...」
「！？」


後ろからかけられた声に飛び上がるのを堪えて振り向けば、そこに居るのは死に絶えたはずの、彼ら。



「どーしてくれんだ俺の一張羅...」
「だから言ったんですよ、こんな子供騙し無意味だと...」



ジャケットを引っ張り見る小五郎と、ハンカチで口元を拭う白馬。


「あら、文句ならあのボウヤに言ってくれる？子供相手ならきっと脱出方法を教えてくれるって言い出したの、あの子なんだから...」
『まぁ皆さん賛同した結果でしょう？それより蘭ちゃん達、起こしてもいいかしら？』



ふ、と伏せ目がちに笑う槍田の後ろからひょこ、と顔をのぞかせたのはAで。



「まさか私からそれを聞き出す為に死んだフリを...」



何故、全員結束しているのだと彼女の目が見開かれた。
いつから気づかれたのかーーその答えをくれるのは、やはり小さな探偵で。


誰が車で橋を見にいくかを決める為、コインを選ばせた時。
遠くにある10円玉にわざわざ手を伸ばした彼女を見てピンときたと言う。


皆の指に青酸カリが付いている事を悟られたくなかったから、そうさせたのだと。
あとは一つ芝居をうっただけ。
モニターで見れば、ケチャップでも血に見える。





「さて、問題はここからどーやって脱出するか...」
「あら、何の音？」


聞きなれたようなローター音。
その正体は、白馬が呼んだという警察のヘリだった。


「呼んだ？」
「ワトソンのアンクレットに取り付けた手紙を、夜明けと共に崖下に待機させていたバアヤの車に届けてくれたんでしょう！」


他の車と見分けがつくように×印を付けておいて良かった、と笑う彼に、それなら猿芝居させるなと茂木達が迫るが、本来鷹は鳩とは違い帰巣本能に乏しいから不安だったと返す白馬の言い分は最もで、Aは苦笑しながら間に入った。



ヘリの音に混ざって、何かが崩れるような音を立てている事に気がついたのは、コナンとーー

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