勇者様のほのぼの日記(ゼル伝)

痛い視線 ページ6

『ぜ、ぜ、ぜぜぜゼルダ様ぁ…？？！！！！』
ゼルダ「リンクこの方は…？」
リンク「…恩人」

いやいやいやいや恩人って…
お前を吹っ飛ばしたの私だからな？！！
と心の中で叫ぶ。
(いや、は？コイツってかこの人ってかこの方、あの有名な勇者リンクだったんですか？？？？？え、知らん知らん知らん知らん。え、嘘だろ？？)
つい頭を抱えて唸る。頭痛が痛い…

ゼルダ「大丈夫ですか？何処かに怪我が…！」
『ひぇ、だ、大丈夫でござんす！！わっちの事はおいてお二人でお話ししてくんなまし！！！！』
と言い背を向けようとすると同時に肩を掴まれた。
思ったより強くて思わず体勢を崩す。
次に冷たくて硬い衝動に見舞われるかと思えば彼の腕の中に抱き止められた。

リンク「ごめん。」
そう言って大丈夫？とでも言いたげに私の名前を呼び顔を覗き込まれた。
一層と強まる彼の匂いに胸が高鳴る。
顔の中心に熱が籠るのが感じられ思わず勢いよくその腕から逃れゼルダ様の背中に隠れた。恐れ多くも、何かに隠れたくって仕方がなかった。

ゼルダ「あ、あの…？」
『ん、えっ！あっ！す，すみませんでしたァァァｯｯｯ！！！！！』
自分のしでかした事に気づきその場で土下座する。
自分でもわかる。多分めちゃくちゃ綺麗な土下座してるよ私。

ゼルダ「そんな！大丈夫ですから顔をあげてください。お願いしますAさん。」
そう言われて渋々と顔を上げると姫様と目が合った。ふわっと微笑む姫様。綺麗な、神秘的な瞳。でもどこか儚いその瞳は全てを見透かしているかのようだった。
つい見惚れていると、姫様が困ったように眉を下げて
「あの…Aさん…？？そんなに見られると恥ずかしいのですが……。」
と言われて慌てて謝ると、横から突き刺すような鋭い目線が送られている事に気が付いた。
ビクビクしながら横を向くと勇者様。
私を穴が空いてしまうのでは?と思うほどに睨んでいた。

『あ、あのぅ…(汗)』
リンクさんからの圧、半端ねぇっす。
怖い怖い怖い怖い怖い。私、殺される？？？ってくらいにやばいぞ。
(そして姫様何興味深そうに私たちを見ているんですか。
あ、姫様目合った。いやニコッてなに？？？？？助けてくれないんですか？ゑ？？？？？？？)

としばらくの沈黙が続いた後、それを破ったのは姫様だった。
ゼルダ「あ、そろそろ王宮に戻る時間ですね。リンク、私は他の護衛の方と帰ろうと思います。本日もお疲れ様でした。」
と微笑んで颯爽と去っていってしまった。

君の幸せを願って。→←再会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す