【呪術廻戦】復縁なんてお断り

7 ページ7

.








翌朝。あれから自宅に帰って頭を整理したが、やっぱりあれは夢だったんじゃないかって。だが、10年ぶりとは思えない程、私は彼の匂いや感触を鮮明に覚えていた。私を呼ぶその声も。



っていうか、再会して早々復縁求めるなんて絶対頭おかしいでしょ。流石に虫が良すぎる。マジで一回ぶん殴ってやろうか。





「げっ、先輩隈酷いですよ」


『女性に向かって "げっ" とは何だ。そんなんじゃモテないぞ』





出勤すれば、後輩くんからギョッとした目で見られる。そりゃそうだろう。昨日あんな事があってぐっすり眠れる筈がない。そのせいで頭は痛いし、身体はだるい。私は深くため息を吐いた。





「もう僕モテなくていいんですよ」


『は…？ま、まさかお前まで!?』


「へへ、こういう事です」





きらりと光ったダイヤモンド。差し出された左手の薬指には結婚指輪がはめられている。そんな彼の表情は照れ臭く笑みを浮かべていて、なんとも幸せそうだ。



…決して、私の諭吉がまた飛んでいってしまうだなんて思ってはいない。決して。





『ううっ、奥さんの事幸せにしてやれよ』


「先輩、独身のくせに上から目線ですね」


『うるせぇ！私だって結婚したいよ！』





先輩である私が嘆いてる姿はきっとダサくて、見るに耐えないだろう。だが、この際もうどうでもいい。私は絶対に幸せになってやるんだ。だから、今更悟に何を言われようと私は絶対に付き合わない。どうせ、また振られて終わりなんだから。



そんな時、ポケットにある携帯が振動して。





『非通知？』





知らない番号だが、とりあえず『はい』と通話に出てみる。だが、その行為がいけなかった。だって、のちに後悔する事になるのだから。





「あ、A？今日会えない？」


『……』





陽気な声で話すそいつ。それに対して、私は軽く放心状態。下手すると、白目でもむいてるんじゃないか。そんな私が言いたい事は一つ。



何 で お 前 が 私 の 電 話 番 号 知 っ て る ん だ よ !!








.

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す