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悟からのメッセージを見るや否や入り口の方へ目を向けると、ちらりと覗く白い髪。そんなの1人しかいない。急いで足を進めて扉を開くと心地のいい風が吹き抜ける。
『悟!なんで…』
「Aに会いたくて」
『それなら連絡返してよ!!』
「ごめん。さっきまで充電切れてたんだ」
こっちの気も知らないで平然と此処に悟がいる困惑から語調が強くなってしまう。
「心配、してくれたんだ?」
『しっ………、したよ』
顔に熱が集まっていく。そんな様子を悟られまいと私の視線は次第に下へ落ちていく。本当は分かってるくせに態々私に聞いてくるなんてずるい。
「──かわい」
フッと暗くなった視界。耳元で囁かれた砂糖を煮詰めたような甘い声に、とくんと心臓が脈打つ。耳たぶに唇が触れてしまいそうな距離だった。決して触れてはいないものの、1ミリ違えば当たっていた、そんな近さ。
「そんな顔、他の男に見せないでね。僕だけに見せて」
『…っ』
ゆっくりと離れていった悟はしっとりと私に告げる。吸い込まれそうな青空。その酷く美しい瞳には紅潮した自分の姿が映っている。
『…は、恥ずかしいこと言わないでよ』
「もっかい口説く前に他の男の所に行かれたら困るからね」
恥ずかしがる様子もなくアンタは平気でそんなことを言う。こっちがどんな気かも知らないで。
悟は私に向けていた視線を左にずらし、先程の彼に焦点を合わす。
『あの人はホントに何にもないから!!』
「手」
『て?』
「手、繋がれてたけど」
今にも不服だと言いそうな顔つきだ。完全に見られていた。そりゃ弁明しても納得してくれない訳だ。
『信じてくれるか分かんないけど、あっちが勝手にしてきただけだよ。お誘いも断るつもりだし。私、人の好意を蔑ろにするような女じゃないよ』
アンタの告白を受け取ってる以上、曖昧にさせたまま他の男へはいかない。かといって、悟をまた好きになりたくはないけれど…
「そっか。うん。やっぱりAしか考えられないや」
『ん?』
「こっちの話」
頭に手を添えられて、話を切り上げられてしまう。にんまり笑っているから都合が悪い訳ではなさそうだ。「でさ、」と次に話す言葉を見上げて待つ。
「お誘いってなに?」
『あ』
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ロゼ(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!!以前、少々トラブルがありましてボードは現在していないんです💦お声いただいたのに申し訳ありません🙇ご声援、ありがとうございます^ ^ (1月14日 0時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ロゼさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています💝、更新応援してます! (1月9日 18時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 眠民。さん» そんな風に言っていただけてほんっとに嬉しいです!夢主ちゃんもごじょるもそんなに褒めていただけるとは…!!ありがとうございます😭更新不定期ではありますが、待っていただけたら嬉しいです♡♡ (12月13日 22時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - コメント失礼します!!夢主ちゃんの性格が好き笑 ごじょせん推しというわけでは無いのですがこのごじょせんはマジでカッコいいっす‥。続き待ってます!!1日のご褒美なのでロゼさんの小説‥ (12月13日 16時) (レス) @page12 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - ねかあさん» コメントありがとうございます~!!推しの供給ってマジで大切ですよね😖ねかあさんにとって本作が少しでも供給になれていたら嬉しいです(ᵒ̴̶̷-ᵒ̴̶̷ ) (11月1日 23時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2023年10月29日 8時