22 ページ22
.
カーテンの隙間から差し込む朝日が眩しくて目を覚ます。気が付いたら私も悟も眠っていた。もう昼近いというのに、隣にいる悟はまだ眠っている。相当疲れているんだろうなぁ、と少し申し訳なくなって何となく頭を撫でた。
悟とはまるで生きる世界が違う。五条家の当主で、教師で、最強で。それに対して、私はただの凡人。強くないし、特に取り柄もない。でも、悟はそんな私を好きだと言ってくれた。10年前と同じあの日のように。嬉しかった。でも、じゃあ、なんで──
"ごめん。別れて"
…やめやめ。悪い方ばっかり考えてしまう。しんどいだけなのに。私は悟を起こさないようにそっと布団から抜け出した。
そういえば、2回も介抱してくれた訳だし、流石にちゃんとお礼しないとな。借りはすぐに返したい。今できるお礼って何だろう。
『ご飯、作ってあげるか』
そろそろお昼だし、お昼ご飯だけ作って帰ろう。勝手ながらも冷蔵庫にある食材を漁って料理を始めた。
暫くすると、寝室の扉が開いて所々に寝癖を付けた悟が起きてきた。キッチンにいる私を見るなり、驚いた様子で「A…」と私を呼ぶ。
『おはよう』
「…おはよ。帰っちゃったのかと思った」
『ちゃんとお礼はするわよ。ごめん。思い付いたのがご飯だったから、勝手に食材使っちゃった』
「いや、寧ろありがたいよ。ありがと」
状況を飲み込んだ悟は次第に顔を綻ばせる。度々思うけれど、悟ってこんなにも分かりやすい人だったっけ。すぐに顔に出るっていうか。そうこう考えているうちに、ご飯が出来そうだった為席に座るように促した。
「Aは食べないの?」
『いや、私は別に──』
瞬間、私のお腹が情けない音を発する。
「お腹空いてるんじゃん。一緒に食べよ」
『…はい』
完全に食欲に負けた。悔しいと思いながらも悟の向かいに腰を下ろした。
それから2人でご飯を食べ進め、悟は満面の笑みで「美味しい!」って褒めてくれた。そんな風に喜んでくれると作った甲斐があるってもんだ。
「ほんと、毎日食べたいくらい」
『褒めすぎだよ』
「本当だよ。Aの料理がこんなに美味しいなんて知らなかった」
悟は少し悲しそうに話した。なんで、そんな顔するの。もし、あの時別れずに今も付き合っていたら私たちどうなってたんだろうね。
ねぇ、悟。
『なんで、私を振ったの』
.
953人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロゼ(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!!以前、少々トラブルがありましてボードは現在していないんです💦お声いただいたのに申し訳ありません🙇ご声援、ありがとうございます^ ^ (1月14日 0時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ロゼさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています💝、更新応援してます! (1月9日 18時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 眠民。さん» そんな風に言っていただけてほんっとに嬉しいです!夢主ちゃんもごじょるもそんなに褒めていただけるとは…!!ありがとうございます😭更新不定期ではありますが、待っていただけたら嬉しいです♡♡ (12月13日 22時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - コメント失礼します!!夢主ちゃんの性格が好き笑 ごじょせん推しというわけでは無いのですがこのごじょせんはマジでカッコいいっす‥。続き待ってます!!1日のご褒美なのでロゼさんの小説‥ (12月13日 16時) (レス) @page12 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - ねかあさん» コメントありがとうございます~!!推しの供給ってマジで大切ですよね😖ねかあさんにとって本作が少しでも供給になれていたら嬉しいです(ᵒ̴̶̷-ᵒ̴̶̷ ) (11月1日 23時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ロゼ | 作成日時:2023年10月29日 8時