19 ページ19
.
『……はっ!!』と勢いよく上体を起こすと、ひらりと落ちる布団。この布団、心当たりがある。いや、心当たりしかない。布団だけじゃなくてベッドも景色も室内も。
その瞬間、ドッと冷や汗が流れ出す。
『(や、やっちまったぁぁ!!)』
完全に悟の部屋だ。2回目だぞ。流石に学べよ私。硝子がきっと悟を呼んだんだ。…仕方ない。
只今の時刻、深夜2時。悟にお礼をして歩いて帰るか、と荷物を取りにリビングへの扉を開けると
『「あ」』
目の前には肩にタオルをかけて上裸の悟。白銀の髪には雫が滴っている。どうやら風呂上がりの悟と丁度鉢合わせてしまったらしい。いやいや、そんな事より…
『ふ、ふふ服!!早く着て!!』
「え〜、顔真っ赤だよ？」
ニヤけながら手で目を覆って避ける私を追いかけるように見つめてくる。こいつ、絶対私の反応を見て面白がってる。クッソムカつくんですけど!!
『も、もう帰るから！介抱してくれてありがと！さよなら！』
「待って。こんな遅くに女の子1人なんて危ないでしょ」
心配してくれるのはありがたいが、私は元術師。それなりに体術も身につけてきたつもりだし、周りの女の子よりは強いはず。『私は大丈夫だから』とだけ背後にいる悟に伝え、早足で玄関に向かおうとすると
「ダメ。帰っちゃダメ」
『ちょっと』
手を引かれて、元いた場所に戻ってしまう。濡れた前髪から覗く瞳は酷く色っぽくて、じわじわと肌に熱が侵食されていく。触れている部分が熱いのは、私の体温なのか悟の体温なのか。なんて思っていると悟は突拍子もない事を発言する。
「泊まってきなよ」
『泊まっ…、はぁ!?』
「そんな驚かなくても。昔はあんな事もこんな事もした仲じゃん」
『なんもしてない!!勝手に捏造すんな!!』
至って健全な高校生だったよ！いかがわしい事なんか何一つしていない。うう、悟と話してるとほんっと疲れる。
「まあまあ、今日は泊まってね。ちなみに拒否権ないよ。任務終わりで疲れた僕を態々迎えに行かせたんだから」
『ひぃ』
満面の笑みを浮かべているが、どこか恐ろしいものを感じる。
『わ、分かったよ。ごめん、疲れてたのに』
「いいよ。Aだから」
私だから。そう言ってくれてほんの少し嬉しかったのは内緒の話。…っていうか、
『いい加減服を着ろ!!』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 955人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロゼ(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!!以前、少々トラブルがありましてボードは現在していないんです💦お声いただいたのに申し訳ありません🙇ご声援、ありがとうございます^ ^ (1月14日 0時) (
レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ロゼさん» ✉️。こんにちは！とても面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？お返事お待ちしています💝、更新応援してます！ (1月9日 18時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 眠民。さん» そんな風に言っていただけてほんっとに嬉しいです!夢主ちゃんもごじょるもそんなに褒めていただけるとは…!!ありがとうございます😭更新不定期ではありますが、待っていただけたら嬉しいです♡♡ (12月13日 22時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - コメント失礼します!!夢主ちゃんの性格が好き笑 ごじょせん推しというわけでは無いのですがこのごじょせんはマジでカッコいいっす‥。続き待ってます!!1日のご褒美なのでロゼさんの小説‥ (12月13日 16時) (レス) @page12 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - ねかあさん» コメントありがとうございます~!!推しの供給ってマジで大切ですよね😖ねかあさんにとって本作が少しでも供給になれていたら嬉しいです(ᵒ̴̶̷-ᵒ̴̶̷ ) (11月1日 23時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ロゼ | 作成日時：2023年10月29日 8時
