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『今、なんて……』
一瞬時が止まったようだった。聞き間違いかと思ったが、悟は「付き合って」と再び繰り返す。状況が把握できず、頭は真っ白な状態。そんな私を見つめて悟は口を開く。
「俺も考えたんだよ。この先ずっと居たいなって思える人。そしたら、オマエだった」
『なっ…』
照れる素振りも無く、淡々と話す悟。それに対して私の顔には熱が集まっていくばかりだ。なに、これ。は、恥ずかしい。真っ赤な私なんてお構いなしに悟は決定的な言葉を発する。
「好きだよ、Aのこと」
言葉一つ一つが脳にゆっくりと落ちてきて、私の鼓動を早めさせる。
『わ、私は──』
私は、なんだ。今まで考えてもみなかった。悟が恋人になるなんて。悟の事はカッコいいと思うし、なんだかんだで良いヤツだと思う。
でも、違う。それは "好き" とは関係ない。
『…私は、悟の事好きじゃない。そんな風に私を想ってくれてるのは本当に嬉しい。でも、私も好きじゃないと悟とは付き合えない。だから、ごめん…』
付き合う、付き合わないの条件は人によって違うと思う。私はお互いが好きで幸せじゃないと恋人っていう関係は成立しないって考えてる。だから、好きでもないのに付き合うなんて本気で告白してくれた悟に失礼でしょ。
やや心を痛めながらも、悟の告白を断った私は悟の顔色を伺う。前髪が目にかかっていて、どんな表情をしているのか分からない。悲しませただろうか。そんな気持ちに苛まれていると、悟は顔を上げて予想外の発言をする。
「そ。じゃあ惚れさせるわ」
『はぁ!?』
俄然、やる気!?
『え、私今振ったよね』
「そんなんで諦めるわけねぇだろ。俺はオマエがいいんだ。なんなら、こっからしつこくアタックしてくから覚悟しとけ」
そうニヤリと悪そうに笑った悟に思わず冷や汗が垂れる。逃してはくれないのか。それなら、悟と向き合わなきゃいけない。
『…じゃあ、もし私が悟に惚れたら、そん時は私が悟に告白するよ』
自分でも何言ってんだって感じだけど、惚れなかったらまた振るだけだ。そう、惚れなければ。
それを聞いた悟は満足気に笑って「絶対ェ言わす」とやる気に満ちていた。
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ロゼ(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます!!以前、少々トラブルがありましてボードは現在していないんです💦お声いただいたのに申し訳ありません🙇ご声援、ありがとうございます^ ^ (1月14日 0時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ロゼさん» ✉️。こんにちは!とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています💝、更新応援してます! (1月9日 18時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 眠民。さん» そんな風に言っていただけてほんっとに嬉しいです!夢主ちゃんもごじょるもそんなに褒めていただけるとは…!!ありがとうございます😭更新不定期ではありますが、待っていただけたら嬉しいです♡♡ (12月13日 22時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
眠民。 - コメント失礼します!!夢主ちゃんの性格が好き笑 ごじょせん推しというわけでは無いのですがこのごじょせんはマジでカッコいいっす‥。続き待ってます!!1日のご褒美なのでロゼさんの小説‥ (12月13日 16時) (レス) @page12 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - ねかあさん» コメントありがとうございます~!!推しの供給ってマジで大切ですよね😖ねかあさんにとって本作が少しでも供給になれていたら嬉しいです(ᵒ̴̶̷-ᵒ̴̶̷ ) (11月1日 23時) (レス) id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロゼ | 作成日時:2023年10月29日 8時