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帰り道。




切れかけた電灯がチリチリと微かな音を立てている。


既に日は落ちていて、住宅から溢れる僅かな光が私たちを照らす。




重い空気の中私は口を開いた。





『…ごめん、迷惑かけた』


「君が謝ることない。むしろ私の方が悪いんだ。余計な真似をしてしまったばかりに」



『いいのいいの。平気だから』





平然を装ってみるが、やはり心は正直らしい。


この遣る瀬無い気持ちは何なのか。



胸に残ったのは怒りなんかじゃなくて哀しさだった。






「でも悟も単純だよね。あんな分かりやすい嘘に乗っちゃうだなんて」



『単純…?』




「あんなの見たら笑えるよ」






そう話す彼の口元は笑っているのに、辺りが暗いせいか視線は鋭く突き刺すものだった。


その姿は少し恐怖をも感じさせる。



まるで先程の五条のようだった。










暫くして学校に着くと私の部屋まで荷物を運んでくれた。



彼に礼を言って荷物を解き、クローゼットに片付けていると







「ねぇ、まだ悟のこと好き?」






不意に投げかけられた質問に驚いて、思わず手を止める。






『何言ってんの。私諦めたんだよ?』






そう、私はこの不毛な恋に終止符を打った。






「なら何故そんな顔をするんだい?」


『…え、私本当に平気だよ?』


「嘘つき。本当は悲しかったんでしょう?」



『それはっ…、』





見抜かれてる。


やっぱり彼には通用しないのか。







『…何だろうね、この気持ち。自分でもよく分かんないや』



「……」





自嘲じみて話す私に眉間に皺を寄せ、心配そうな面持ちで見つめる。








「……私ならそんな顔させない」







それは微かに、朧げにぽつりと口からこぼされた。






『…えっ?』



「すまない、今のは忘れておくれ。……今日はもう遅いしそろそろ寝るよ。おやすみ」






パタン、と閉ざされた扉。



秒針の音が規則正しく響き、静寂を際立たせる。






さっきのどういう意味なんだろう。


頭の中でぐるぐる回るあの言葉。




もしかしたら夏油は本当に私のこと───…







いやいや、ないない。自意識過剰もいいとこだ。






でも何故だろう。




去り際に見えた物悲しげな瞳が私の胸を締め付けるのは。








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皐摩(プロフ) - 胸がギュンギュンしました… (2022年2月15日 19時) (レス) @page50 id: c69f5fedc2 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - めっちゃ面白いです。 (2022年1月15日 15時) (レス) @page47 id: ea5533ef50 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 恵 - 目頭が熱盛(?) (2021年10月12日 20時) (レス) @page13 id: f5505c766c (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - 莉亜さん» ご声援ありがとうございます!夏油ルート検討してみようと思います!! (2021年9月29日 2時) (レス) @page41 id: a0125a0dc0 (このIDを非表示/違反報告)
- えっ好き() (2021年9月23日 22時) (レス) @page38 id: 160a7ef55b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロゼ | 作成日時:2021年2月20日 21時

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