【d！】彼女はまるで屠所の羊

羊が２８匹 ページ28

「はぁ……はぁ……し、死ぬかと、思った」

「ご、ごめんな？急いだ方がええと思って……」


あの場から離れられたのは良かったけれど、人生初のお姫様抱っこがこれとは……。

もう一生お姫様抱っこされなくていいかもしれない。

それでも連れてきてくれたのはゾムだし、お礼は言わなくちゃ。


「ま、まぁ、思ったよりも速く着けたわ。ありがとう」

「そ、そうか？なら良かったわ。
　それで？なに買うんや？」

「んー、そうね。出来るなら焼きそばパンとかメロンパンとか……」


そう言い終わる頃には隣にいたはずのゾムが居なくなっていた。

え？あいつ、どこに……。


「Aー、買ってきたでー！」

ゾムを探すため辺りを見渡そうとすると、目の前にニコニコ笑顔のゾムがいた。


「あ、あんた、どこ行って……え、何その袋」

少し視点を下にするとゾムの手には大きな袋がぶら下がっていた。


「ま、まさか、ゾム……」

「いっぱ〜い買ってきたで！！」

「ひっ……！」


袋の中には焼きそばパンからメロンパン、その他諸々計１０個近くのパンが入っていた。

そのあとはお分かりだろう。



「うっ……苦しぃ……」

「んふふ、まだまだあるで！！」

「もういらないわ！！」



そう。死ぬほどパンを食べさせられた。


あれ、私ゾムと居る方が死にかけてない？気のせい？？

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