【d！】彼女はまるで屠所の羊 (ページ19)

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羊が１９匹ページ19

あれから少し経ち、ゾムと私の家で遊ぶのが日課になった。

ゾムは生徒会のトントンさんから聞いていてくれているのか、三年の授業の進行度とかちょくちょく教えてくれる。

それに私の話し相手にもなってくれるから結構助かっている。

そして今日も……。

「Aー！遊びに来たでー！！」

ほら来た。

「分かった、今開ける」

今の私の一日からゾムが居なくなれば、また、静かな生活に戻ってしまうのかと、少し寂しくなる。

でも、きっとその前に私はこの世からいなくなるのだろう。

私は彼のおかげで、残りの人生を楽しく過ごせている。

……私はそれだけで十分、最近はそう思えるようになった気がする。

「はい、どうぞ。
　で？今日はなにするの？」

「お邪魔しまーす。
　今日は俺がゲーム持ってきたで！！」

え、そのために一度家に帰って……？

そう思ったが、ゾムの服装は制服だった。

こいつまさか……！

「ゾム、あんたもしかしてゲーム機学校に持って行ったりしてないでしょうね？」

「ｽｩ……そ、そんなことしないっすよ。これでも生徒会やしぃ〜……？」

いや、どう考えてもこいつ学校にゲーム機持ってったでしょ！！

どうしてそんなわっっっかりやすいが嘘を突き通せると思ったの！？

「嘘つかない、持ってったんでしょ？
　とやかくは言わないから、さっさと遊びましょ。私、暇で暇でしょうがなかったんだから」

カッコつけてそんなこと言ってみても、私にとってこの時間は大切なの。

だがこの男はそれに気づいているのか、ニヤニヤしながら口を開いた。

「えー？それじゃあAは俺のこと待ってたん？」

と言ってくるものだからつい、

「ええ、そうよ？私の娯楽はゾムと遊ぶことだもの」

そんなことを口走ってしまった。

するとゾムは予想外にもフードを被っていても分かるくらいに顔が真っ赤になっていった。

ふふ、やっぱり彼との時間は楽しいわ。

停学終了まであと１週間。