ねぇ、笑ってよ。 (ページ15)

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高校は仮卒期間に入って、週一だけの登校になったから、引越しに取り掛かった。

家に戻ると、玄関にそこそこの額の入った私名義の通帳があった。これがお母さんからの最後のプレゼントだった。

荷物をまとめて、引越しの手続きをして、今日、無事終了。

最後の荷物を持ってシェアハウスに入ると、みんなでお出迎えしてくれて、歓迎パーティするぞーだって。

謙ちゃんに負けず、みんな優しい。

私がここに来る経緯を誰も聞いてこない、みんなの優しさに感謝する。

類は友を呼ぶって本当なんだなって思った。

部屋に行って荷物の整理を始める。

『はぁ…』

謙ちゃんには、あの日のこと何も聞けてない。

みんなといる時はすごく楽しそうだからもう解決済みなのかな。

でも外から帰ってきた時とかたまにすごく悲しい顔してたり、カラ元気の時もあるし、まだ解決してないはず。

でもどっちにしろ私が聞いていい事じゃないのかもしれない。

なんてひとりでぐるぐる考えて、結局何も聞けてない。

いつか、謙ちゃんの悲しい顔がなくなればいいな。

なんて考えてると、「Aちゃーん」と私を呼ぶ声。

返事をしてリビングに降りると、みなさん勢揃い。

『どうしたんですか？』

真「パーティで食べたいものある？今買い出し係決めるとこでさ。」

怜「なんでもいいよ！好きなの言ってみて！」

萩「作ってほしいものでも、買ってくるやつでも何でもね。」

『何でもいいなら、私、謙ちゃんの作ったごはんがいいな。』

謙「え？」

美「そんなんでいーの！？」

顕「高いのとかにしなよー」

『好きなんだもん。』

諸「そんなのこれからはずっと食べれるから！」

怜「そーだよ！これからは嫌でも毎日！」

謙「おい！嫌でもってなんだよ！」

顕「謙ちゃんの手料理は今日は却下で。」

『えー。んー、みんなと食べれるならなんでもいい。』

諸「キューン」

顕「モロきもい。」

真「じゃ、おまかせってことでいい？」

『はい。お願いします。』

萩「はい、じゃあ買い出し係決めるよ。」

7人のじゃんけんが始まった。